最後に ―読者の皆様へ
ブログの最後に何を書こうかなと色々考えたのですが、
私がここに戻ってきた経緯を含めたろくなオチも無い身の丈話となりますので
何卒よろしくお願いします。


【銃と現実】


私のペンネーム「IRAKA」は、井上靖の歴史小説「天平の甍(いらか)」から拝借させて頂いたものです。
同作は、唐の高僧である鑑真を来日させるべく、奈良の修行僧達が奮闘する姿を描いた
歴史小説なのですが、私はその内容を通じて「人生の使い方」にいたく感銘を受けた記憶があります。


この作品を読んだ当時、私は勉強も出来なければ運動もまるで苦手な出来損ないの学生でしたが、
そんな劣等感を忘れる事が出来る唯一の時間が、大好きな銃器の世界に没頭することでした。

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これは私が小学生の頃にガチャポンで当てた、キャップ火薬を入れてパンパン鳴らすおもちゃです。
当時のガチャポンなんて表の広告にある当たりなんてものは入っているかどうかすら
怪しいくらいデタラメな中身でしたが、どういうわけか一回で当たったのです。
記憶している限り、私が銃に興味を抱くきっかけとなった原初体験でした。


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これが当たった瞬間とか、初めて火薬をつめて鳴らしたときの恍惚ですとか、今でも鮮明に覚えています。
あのときこれが当たってなければ、こんなブログは書いていなかったかもしれないと思うくらい、
私にとってこの鉄屑は人生を変えた宝物です。


ですが銃を好きになればなるほど、あるひとつの現実に直面します。
それは日本という国において、自分の理想とする形で銃器に直接携わる事が極めて困難であるという事。
受動的に消費する形でしか、銃器の世界に留まる事ができないという事。
そしてとうとう、その現実と戦わなければならない、
大学の就職活動の時期を迎えます。


【「小銃少女」と自暴自棄】


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何とか銃器に関わる仕事に就けないかと、色々と自分なりに行動した結果、
この国では数少ない、銃器製造を行う某社の面接にこぎつけたのですが、
その面接が行われる直前になって、同社から同年度の新卒採用は見送るとの連絡が
届きました。丁度リーマンショックの翌年の出来事でした。




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なんというか、なんじゃそりゃ!みたいな呆気にとられてしまいました。
リーマンショックを恨む訳ではありませんが、あと一年早かったら
違った人生になっていたのかもと思うと、何だか自暴自棄になってしまったのです。
「夢見てるご時勢じゃないな」と気持ちを入れ替え、その後何とか商社の内定を得たものの、
やりきれない気持ちのやり場を、卒業までに何とか発散しようと選んだ方法が、
小銃少女という作品を描く事でした。

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(↑一番最初に描いた二人)

ですから本当に、社会人になるまでの時限付で辞めようと、
そう心に決めてから更新を始めました。
それからの事は皆様もご承知の通り、私の無断転載が元となり、
更新を身勝手にも止めてしまいました。


私はあのときどうすればよいのかわからなくなっていました。
ブログを更新困難な状況にしてしまい、
銃器と携わる仕事に就くことも出来ずにいたあのときの私に
次の一歩を踏み出す余裕は無かった様に思います。
こうして社会人になった後も、自分へ言い訳をしながらブログから目を背けていたのですが、
予想だにできないある出来事が私の視線を変化させました。


【気づかなかった、ふたつの存在】

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それは私が気づいていなかった、読者の皆様でした。
それまで作品を発信し続けていた中でも気づく事ができなかった、
本当にたくさんの方々の存在、そしてそうした方々から頂いた
たくさんのご意見、お叱り、ご声援こそ、先日完結させた103ページの原動力に他なりません。



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そして、もしかすると私のやりたかった、なりたかった、
銃器に携わる「理想的な形」というのは、
意外にもすぐそこに存在するのではないかと考えるようになりました。
ですが私は以前からもぼやいているように、本当に遅筆です。
仕事の傍ら創作活動に勤しんでおられる方は大勢いらっしゃいますが、
私にそのような器用な真似は出来ませんでした。



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しかし、今の生活を全て投げ出す勇気は、そう簡単に起きるものではありません。
サラリーマンは私が思っていたよりも、ずっと快適で、何よりも磐石です。
不本意な就職とはいえ、私にはその仕事内容、待遇、人間関係において
幸運にも何ら不満はありませんでした。



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このまま惰性に身を任せて、目を背け続ける感覚が無意識になるのを選ぶのか。
今の生活と引き換えに、もう一度ペンを握るのか、
どちらかを選ぶ事ができる思考判断も、そうそう長く維持することは出来なくなるでしょう。
入社以来そうした自問自答を繰り返すこと3年目、私は自らの意思で決断を下します。


【全てと引き換えに】


入社から3年目の春、私は会社を退職しました。
全てはもう一度ペンを握って、あの日から今日に至るまで、
私を支援して下さった皆さんに対して真っ直ぐ目を合わせられるように、
そして何よりも、世間や境遇に言い訳ができないよう、
自分の人生の使い方を本当に自分の意思で決断した結果です。



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しかし、このような行動は自分を適当に言いくるめて社会から逃げてきただけであって、
傍から見れば、もっと他にやり方はあったのでしょうし、あまりにも早計で、世間知らずで、
甘えた自意識が愚かしく目に余ると思います。

それでも未完のままで放置してしまった小銃少女から逃げ出すほうが、
私には耐えられませんし、今まで応援して下さった方が喜んで頂けるのであれば
このまま野垂れ死んでも何の後悔もありません。


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なんだか重たい話になっちゃいましたが、
60億人もいる地球の中に、一人くらいこんなバカがいても良いんじゃないの?
くらいのかるーい話で受け止めていただければ幸いです。


【「衣・食・銃」あっての人生】


それで、先日の更新の最後に、「小銃少女は”一旦”幕引き」とさせて頂いたのですが、
これは私の中で、もっとちゃんとした体を成した媒体において、パワーアップさせて
是非皆さんの目に届くような存在にしたいなという願望がある為に、
このような曖昧な表現をさせて頂きました。


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これは小銃少女という作品にこだわることなく、
また様々な舞台やテーマをもって、私の考える銃器の世界を
広げる事を第一に、今後努力を続けていきたいという意思の表れでもあります。
とはいえそれがいつになるのか、どこでやるのかなんて全然見当すら付けられない現状なのですが、
またお目にかかる機会があれば、どうかその時は是非ともご贔屓にして頂ければ嬉しく思います。


ブログの更新は今回が最後となります。
もし何かご意見等ございましたらコメント欄でも結構ですが、
メールだと確実に届くと思います。


重ねて、古くは8年前から今日に至るまでの長きに渡り、
多くの読者の皆様からご支援・ご声援を賜りましたことを深く御礼申し上げます。
天平の甍の如く、人生の使い方を私に考えさせるきっかけをつくって下さった
皆様からのご恩は絶対に忘れません。
何年かかるかわかりませんが、一生懸命頑張ります。
皆さんも、どうかお元気で。




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# by clan-aaa | 2014-12-17 21:00 | その他 | Comments(12)
"OPERATION GUN GIRL" 最終話 「小銃少女作戦」

大変長らくお待たせ致しました。
結局1年かかってしまいました。
大変申し訳ございません。。。

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私は筆が遅く、4コマを掲載していた頃は週に2本のペースが一杯いっぱいだったのですが、
本作は全103ページのフルサイズを約1年で描き上げたことを考えると
人間気合で何とかなるというのがよく実感できます。

「おわり」としております通り、小銃少女は今作をもって一旦幕引きとさせて頂きます。
ブランクの3年間を含め、連載を開始した2009年から足掛け5年間の長きに渡り
読者の皆様から大変なご支援を賜りましたことを、まずは深く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

次回、私がこの作品を書き上げるに至った経緯等々を含め
ブログとしては最期の更新をさせて頂こうかと思っております。
寒さ深まる年の瀬、お待たせしてしまった分じっくりとご覧頂ければ幸いです。

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# by clan-aaa | 2014-12-12 18:41 | 「小銃少女」 | Comments(3)
ちょっとお出かけしてました
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結構間が空きました、漫画をお待ち頂いている方々には大変申し訳ありません。

ちょっと1ヶ月ばかりアメリカへ取材、なんてカッコいい言い方したら恥ずかしい感じですが、
色々と調べ物をして参りました。
先日帰国したばかりなのですが、ウエストの天ざるうどん(福岡ローカルですいません…)が
あんなに美味しく感じたのは初めてでした。やはりハンバーガーで生きていくのはちょっと堪えます。


銃に関して自分の中でどうしても疑問だった事ですとか、
思い込んでいた事が色々と覆された貴重な体験は掛け替えがなく、
銃器に興味があるものとしてもう少し早く行くべき国だったと思いました。
もうしばらく行く事はないであろうと思い、小さいものから大きいものまで、
有名無名問わずかなりの銃器と戯れて参りましたが、
その端々の瞬間をただひたすらに幸せだと感じられた事は、自分が銃器が好きだという、
この思いだけは揺ぎ無く、改めて再認識できた様に感じます。



話したいことは山ほどあるのですが、無駄口叩く暇があったら
さっさと続きを描けという声が何処からか聞こえて参りますので、
銃をペンに持ち替えてとっとと作業に戻ります。
ホントお待たせして申し訳ありません。
この話の続きはまたどこかで時間をつなぎたい時にでもさせて頂こうかと思います。

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# by clan-aaa | 2014-10-03 12:31 | その他 | Comments(2)
"OPERATION GUN GIRL" 第6話 「すべてを賭けて」

大変お待たせ致しました。

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今年も例年に増して暑い日々が続きそうで、
私の部屋もプラスチック製品が変形しそうなくらい室温が高くなってきた今日この頃なんですが、
よくよく考えたらこの部屋北向きなんですね。

今の部屋に越してくる前、南向きの角部屋に住んでいた反省を生かして
北向きを選んだんですが、部屋選びに正解はないですね。
どっちがいいのか未だによーわかりません。


さて、本編ですがおそらく次回で完結…出来るかな?
といった感じです。
大変長きに渡りお付き合い頂きました読者の皆様へ重ねて御礼申し上げます。
もうちょっと待ってて下さいね!

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# by clan-aaa | 2014-07-24 19:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
G36は当たらない?命中精度不具合事件について
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↑問題となったDM11(MEN公式サイトより引用)


国の第三者機関とメーカーを交えた大々的な調査が行われました。
発覚当初は相当重く受け止められたようで、
銃器業界においても「あのHK社の主力製品がこのような問題を抱えていたとは」と
一大騒動となった経緯はご存知の方も多いはずです。


当初、バレル加熱時に発生する問題であった為にポリマー製のレシーバーが
その原因であると疑われていましたが、私はどうも腑に落ちませんでした。
製造元のHK社は歴史的にも樹脂部品の採用に逸早く取り組んだ企業ですし、
マテリアルの選択でそのようなミスを犯すとは到底思えなかったのです。


結果として、その原因は弾薬にあることが判明しました。
その内容は、製造ロットによってブレットのジャケット厚が規定よりも薄かった為に
安定した性能を発揮できなかったということらしいのですが、
何故ジャケットが薄いと命中精度が落ちるのか、そのあたりをちょっと触れたいと思います。



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この図は、問題となったドイツMEN社のDM11(SS109相当)のブレット断面の簡素図です。
今回問題となったのは、図中オレンジのジャケットの「厚み」です。
これが薄かった為に命中精度が下がりました。


ご説明に入る前にご理解いただきたいのですが、
今回のケースは様々な要因が絡み合った結果発生した問題ですので、
当記事では砲内弾道学に絞ってご解説したいと思います。


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この図は撃発直後、ブレットが銃身内部を通過する過程を断面で描いたものです。
ジャケットの厚みが十分であれば、図中青で示されたバレルのライフリングに
ジャケットがしっかりとくい込んで、ブレットを推進する燃焼ガスをしっかりと受け止めつつ、
ブレット前部への「ガス漏れ」を防ぐ事ができます。


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で、ジャケットが薄いとどうなるか、を表したのが上の図です。
今回問題となったケースですね。
ジャケットが薄いブレットはライフリングにしっかりとくい込む事ができず、
ライフリングとブレットの隙間から燃焼ガスが漏れてしまいます。


すでにこの段階でなんとなくお察し頂けるかと思いますが、
この状態ではブレットと銃身の関係が不安定なので、
銃身内部でブレットがぶつかり回りながら暴れます。
これを「バロッティング」といいます。
当然のことながら弾道に悪い影響しか与えません。

また、このブレットとライフリングの隙間から漏れ出すガスはとてつもない勢いで
せまーい隙間を通過するのですが、このとてつもない勢いによって、
「銃身内部の表面」と「ジャケット」の両者は急激な腐食・溶解を起こします。
銃身が磨耗することを「エロージョン」というのですが、
今回のようなケースは、特に「スコーリング」と呼ばれています。


スコーリングによって、銃身はたちまち老けていきますので、
銃身内部の表面は荒れ果てます。イメージとしてはザラザラした感じですね。
この荒れたお肌はやすりのような性質を持つので、ジャケットの表面を削り取ってしまいます。
銃身内部にジャケットの一部が付着(着銅といいます)した状態で射撃を続けると、
弾数を重ねるごとにブレットの旋動(回転運動)が不安定になり、命中精度が下がるのです。
連続射撃を行い加熱したバレルで発生した今回のケースだと合点が行くかと思います。


というわけで、砲内弾道学上ではこういった要因がざっと挙げられるかと思います。
砲外弾道学上からの解説については勘弁して下さい。
レイノルズ数とかマグナスモーメントとかむじゅかしい計算の話になるのでアホがばれます。
もうバレてるか。
記事中アホな記述がありましたらご指摘下さいませ。

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# by clan-aaa | 2014-07-04 06:00 | Comments(2)