不遇の傑作 -FN FAL-
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優秀であるにもかかわらず、本人の意図しない外的不安要素によって
その評価が著しく貶められた人・物は数多く存在します。


かつて、終戦直後の西側諸国全ての軍隊で使用する「統一自動小銃」としての地位にまで
のぼりつめようとした自動小銃が存在します。


今回は、AK・M16と並び、世界の3大アサルトライフルに数えられていながらも、
不遇な運命に翻弄された自動小銃「FAL」を紹介します。


■幻の「西側統一ライフル」

ヨーロッパには、2つの世界的なアサルトライフルメーカーが存在します。
一つはG3を世に送り出したドイツのH&K社、
そして今回の主役である「FAL」を開発した、ベルギーの「FN社(ファブリック・ナショナル・ハースタル)」です。


FN社には非常に優秀な設計者が多数所属し、銃器史上に名を残す非常に優秀な小銃を
いくつも設計・開発・生産してきた巨大銃器メーカーです。

そのFN社の中には、「デュードネ・ザイーヴ」という設計者がいました。
彼は、第2次世界大戦でドイツ軍が使用したStg44の先見性と、その高い能力に感化され、
戦後まもなく新型自動小銃の開発を決意します。
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(↑「Stg44」 戦後の小銃開発に多大な影響を残した傑作)

そこでザイーヴは、いくつかの試作品の開発を経て、一挺の自動小銃を完成させます。
それが、「FAL」でした。

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(↑「FN FAL」 使用弾薬が.280ブリティッシュの最初期モデル)

FALは、

F = Fusil (小銃)
A = Automatique (自動の)
L = Legel (軽い)


という名からもわかるように、強力な弾薬を大型の銃から単発で撃ち出す従来の自動小銃に比べ
軽量・小型で、かつフルオートで射撃できるように設計された、スタイル抜群の自動小銃でした。
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おっぱいおっぱい


FALは本来、小型かつ短小な「.280ブリティッシュ」と呼ばれる弾薬を使用するので、
フルオート射撃が実用レベルで可能だったのです。
繰り返し行われる社内テストでも良好な結果を残し、「アサルトライフル」としての敵がまだ少なかった当時、
FALを西側統一主力小銃にしようとする動きが出てきました。


しかし、順風満帆であるかのように見えたFALの運命は、
軍事超大国アメリカによって打ち崩されます。


■悲劇の小銃
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(↑「M1ガーランド」 第二次大戦期のアメリカ軍を勝利に導いた自動小銃)

第2次世界大戦において特に優秀だと評された自動小銃が存在します。
「M1ガーランド」と呼ばれるこの自動小銃は、アメリカ国内において
「アメリカに勝利をもたらした自動小銃」として絶大な評価を築く事になります。


そのため、アメリカ軍部はM1ガーランドの栄光にすがり、
軍事先進国において「今後の自動小銃は小型かつ軽量な短小弾を使用する必要がある」
との認識が広まる中でも、強力な「7.62×51mm弾」を使用する大型自動小銃「M14」の採用を
断固として決定してしまいます。
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(↑「M14」 アメリカ軍初の主力アサルトライフル。M1ガーランドの後継機にあたる)

こうして、諸外国からは時代錯誤と罵られながらも、「M14」をアメリカが採用した事によって、
他の西側陣営も大戦期とほとんど変わらぬ強力な弾薬を使用する自動小銃を採用せざるをえなくなります。
当時の西側陣営におけるアメリカの発言力は非常に強力で、戦後処理に疲弊しきった西欧各国は、
このアメリカの独断に追従せざるをえなかったのです。


FN FALもこうした流れを無視できず、開発者ザイーヴの反対もむなしく、使用弾薬を強力な7.62×51mm弾へと
不本意ながらも変更
する事になります。
もちろん、このような強力な弾薬では、本来FALが持つ能力を十分に発揮する事は出来ません。
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(↑「FN FAL」 強力な7.62mmNATO弾を使用する標準モデル)

そしてこの後、FALを待ち受けていた運命は、
アサルトライフルの命ともいえる「フルオート機能」のキャンセルでした。
これはイギリス軍を端に、FALを採用した国々が追従して行ったデチューンの一環であり、
7.62mm仕様のFALを実用レベルで維持するにはセミオートのみで使用する他なかったのです。


そのような不遇にもかかわらず、FALはその後全世界で70カ国以上の軍隊が採用する
アサルトライフルのベストセラーとなります。
これはAKに次ぐ数の多さであり、西側を席巻した唯一のアサルトライフルとなりました。


それほどまでに優秀であったにも関わらず、知名度は低く、
現在ではそのほとんどが退役となってしまったFALですが、
その先見性と奮闘振りは今こそ評価されて然るべきでしょう。


自動小銃が個性で勝負していた良き時代を想わせる、その優れたスタイルと妖艶な魅力は、
今もなお、色あせる事はありません。
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by clan-aaa | 2009-05-16 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(1)
Commented by Hior at 2009-12-31 22:50 x
背のラインにドキッときてしまいました(><、


無類の三菱ファンです。
なぜかあのロゴマークには心を熱くするものを感じます。

携帯電話、AUからも製品を出して欲しかったのですが・・・撤退してしまいましたね^^;
その経緯、自分が聞いた限りでは、ドコモの方針を逆らえないままに飲み続けて力尽きた、という印象を受けました。
JALの話も。

なんだか、かなしいですね・・・
何のための組織か、チームか、って思います。
キャプテンの信念や矜持は、権力に翻弄されっぱなしの様に思います。
いつか聞いた正義無き力は悪という言葉を思い出します。
志あるキャプテンが権力ある立場にも居ればって思います。

打倒しがたい性の存在はわかりますが・・・悔しいものは悔しいですね。
絶対に迎合したくないです。
成果は砂粒ほどで終わるとしても、いつか、常識が奇麗事で塗り替わる日がくることを信じて、コツコツいきたいです。
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