ライフルのひみつ ―閉鎖機構編―
前回の続きです
f0066308_4394038.jpg


銃の構造を知る上で、前回ご紹介した作動機構と並び重要なのが
「閉鎖機構」の分野です。
作動機構とは、この「閉鎖機構」を開放する為に必要な工程であり、
両者の関係は非常に密接です。

今回と前回の内容をおさえれば、銃の構造に関してほぼ9割方理解出来たも同然です。
前回同様なるべく噛み砕いてご説明するので、一つ一つの工程を確実に消化しながら
読み進んでください。


■閉鎖機構とは
f0066308_5404662.jpg
前回までにご説明した「ガス圧利用方式作動機構」には、弾薬を連続的に銃へ供給する為に
ボルトを動かす役割と、もう一つの役割があります。
それが、「ボルトを開放する役割」です。

上の図を一見すると、緑色のボルトはただ単にバレルに装填された弾薬を
後ろから塞いでいるように見えますが、実はこの
f0066308_541436.jpg
赤いまるで囲った部分は、バレルとボルトが密接に噛みあう、すなわちバレルに対して
ボルトが閉鎖されている状態にあります。
この閉鎖状態だと、弾薬が激発し、薬莢がボルトを強く後ろへ押し出しても、
ボルトは一切動きません。

そして、これを開放する方法こそが、前回ご説明したような、ガス圧を利用した
作動機構による力なのです。

では、実際にどのようにしてバレルとボルトが噛みあっているのか、
そしてどのようにしてそれを解くのかを、M16を例にご説明します。


■ロータリー・ボルトの閉鎖と開放
f0066308_5413818.jpg
(↑ M16の閉鎖機構概要図)

私は根っからの文系人間なので、こうした数学的・工学的図説は非常に苦手なのですが、
そんな私でも理解できるように作ったイラストを使用するので、なんとかその仕組みは
お分かりいただけるかと思います。わかりにくかったらごめんなさい。。。


まず、これまで何度も目にしたガス圧利用作動方式の図説の中で緑のパーツとして
ご紹介してきた「ボルト」は、さらに分解すると、このように2つのパーツで構成されています。
f0066308_5422263.jpg
左の濃い緑が「ボルトキャリアー」、右の明るい緑が「ボルト」と呼ばれるパーツです。
これらパーツ群による閉鎖機構のことを、「ロータリーボルト閉鎖機構」と呼びます。
AK、M16等の主な自動小銃のほとんどが採用する非常にポピュラーな閉鎖機構です。

「ボルトキャリアー」は、ボルトを包み込むような円筒形をしたパーツで、
ガス圧を直接受ける部品が腕のように伸びており、また筒本体には「みぞ」が掘ってあります。

「ボルト」は、ボルトキャリアーの中にすっぽりと納まるような円柱形をしたパーツで、
本体からは小さな突起が突き出しており、ボルトをボルトキャリアーに収める際は、
この突起はボルトキャリアーの「みぞ」に入り込んでいます。

そして、このボルトの先端にある歯車のような形をしたのが、
「ロッキング・ラグ」と呼ばれる突起群です。
この歯車が回転する事で、ボルトとバレルはまるで「ネジとナット」のような関係で噛み合うのです。

その噛み合いと開放について、順を追って説明します。
f0066308_551162.jpg
ロッキング・ラグの回転角度を示した図において、青色をしているのはバレルにおける溝の角度です。
ネジとナットの関係では、緑のボルトがネジ、それを受ける形でナットに相当するのが青色のバレルです。
一番左の閉鎖状態では、互いに噛み込んでいるのがおわかり頂けるかと思います。

①ボルトキャリアーのみぞに入りこんだボルトの突起は、ボルトキャリアーがガス圧を受けて
後退すると共に、溝の曲線に沿って動く事になります。
これが一番左の図の状態です。


②曲線に沿って動く突起によって、ボルトには「回転運動」がかかります。
この時、ボルトはボルトキャリアーと共に後退する事はありません。
なぜなら、ボルトの先端にある歯車「ロッキング・ラグ」とバレルのみぞが、
まだ互いにかみ合っているからです。
さらに後退を続けるボルトキャリアーによって、ボルトの突起はみぞにそって動き続け、
ボルト自体も回転運動を続けます。
これが真ん中の図の状態です。


③後退を続けるボルトキャリアーのみぞに沿って動いている突起も、
やがて反対側へと到達し、ボルトの回転は終了となります。
この時、ロッキング・ラグとバレルのみぞが合致、両者の関係は開放されます。
こうして、ボルトとボルトキャリアーは一緒になってさらなる後退を続けます。




閉鎖→開放の順序はこの通りです。
開放→閉鎖は、この逆になります。



f0066308_650529.jpg
・・・・・うーん、難しいですね。。。
仮に私が無知な状態でこの説明を聞いて一回で理解できるかといえば、
ちょっと厳しい、かな。。。

逆にこの説明一発で理解できた方は素晴らしいです、色んな意味で。。。


閉鎖機構はパーツ同士の位置関係やら動きが複雑なので、
文章ではやはり限界があります。
YoutubeにあるM16の動作説明動画の中で、個人的にわかりやすいと感じたものを
いくつか貼っておきましたので、出来ればこちらもあわせてご覧下さい。





f0066308_6271770.jpg

[PR]
by clan-aaa | 2009-06-13 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(2)
Commented by Hior at 2009-12-31 13:34 x
ロータリーボルトについて、とてもわかりやすかったです。
ボルト先端の角ばった歯車形状の噛み合いとキャリアの連携、今まで正しく理解できてませんでした。

自分は根っからの理系の頭脳をしています。色々楽しいこともあるのですが、
語彙・表現の多彩さ・センス、
情報の噛み砕き方や、思考を順序だてたり整理したりっていう・・・考え方(?)というか頭の使い方っていうか、(苦笑)
文系の友人を見ていて違いを感じました。
(文系像を見誤っているかもしれませんが)
最近になって近代の各国の歩みや政治の歴史、明治維新などでの各人の信念に興味がわき色々考える機会が多くなったのですが、この辺りの未熟を痛感します。
目下の課題。バヨネットの記事で感じました「人の感性」、ここにうったえかけられる表現を身につけたいです。手元の理屈思考ではどうにも・・・^^;


Commented by Hior at 2009-12-31 13:34 x

そう言えば、ボルトキャリアの中のボルトはバネか何かで前進位置(開放状態)に押さえつけられているのでしょうか。
ボルトキャリアが後退位置で停止したとき(激突するのでしょうか・・・)前進位置にあったボルトは慣性で何mmか後退しそうに思えました。
この何ミリかでカムの直線部分を越えたなら、そのままキャリアが前進すればチャンバー側のロッキングラグの隙間を抜けられないな、って思いました。

動いてるからには、何かカラクリがあるのでしょうね(笑)
先達のアイデアや工夫には敬服です。
<< ライフルのひみつ ―落ち込み式... ライフルのひみつ -M16編- >>