バイポッドの話
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「Buy American条項」というアメリカの景気対策にちなんだタイトルです。
誤植ではないので悪しからず。。


さて、今回はiPodの話でもウォークマンの話でもなく、
「Bipod=バイポッド(二脚)」のお話です。
バイポッドに隠された、銃器設計者の意図をたどりたいと思います。


■銃の足

バイポッドとは、安定した銃の射撃姿勢を補助する為に、
銃の前下部に取り付ける「脚」の事です。

バイ=Bi(2)ポッドの他にも、モノ=mono(1)ポッド(一脚)や
トライ=tri(3)ポッド(三脚)も存在します。


バイポッドは、射撃が安定する反面、銃の重量がかさみ、活発に取りまわすような場面では
お荷物となる為に、一般的には民間射撃場や競技会で使用する道具です。


面白い事に、世界中のアサルトライフルは
設計段階からバイポッドの装着を前提としているものと、
その装着を全く考慮せずに設計されたものに二分出来ます。


設計段階でのバイポッドの有無。
その差は何処から生まれるのでしょうか。


■攻めの軍隊、守りの軍隊

イスラエルのIWIという銃器メーカーが開発した「ガリル・ライフル」という銃があります。
ガリルは、その設計をほぼ全てAKから拝借していますが、
ただ一点、設計思想に関して根本的に異なる点があります。


AKは、強国ロシアが生み出したアサルトライフルです。
歴史的に、ロシアは常に「攻め」の戦略的外交を基調としてきた国です。
貪欲に領土や資源を追い求めた結果、斯様に広大な国土をもつに至ったのは周知の事実です。
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(↑ 「AK-47」)

その為、ロシアは「攻め」の戦争を多く経験してきました。
そうした「攻め」の戦争を効率的にこなすには、AK-47のように
一切の無駄を省き、取りまわしやすく軽い銃が求められます。
もちろん、前進し続けるロシア軍にとって、バイポッドなど無用のお荷物です。


しかし、そうした「攻め」の戦争とは対照的な歴史を多く持つのが、イスラエルです。
宗教上の地理的条件から、その小さな国土を「守る」為の戦争を多くこなしてきました。
その為、軍隊で使用する銃にも、そうした「守り」の性格が求められます。


拠点に腰をすえ、攻め入る敵を撃ち払う戦いに、バイポッドは非常に効果的に機能します。
銃としても非常に優秀で、「攻め」の設計に特化したAKにバイポッドを取りつけ、
「守り」の銃へと変身させたものが、ガリルライフルといえるでしょう。


このように、バイポッドの有無によってその銃の性格、
しいてはその国の性格が見て取れます。

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(↑ 「六四式小銃」 バイポッドの装着が原則となっている)

日本はどうでしょう。
自衛隊が採用する「六四式小銃」「89式小銃」は、
共にバイポッドの装着を前提として設計されています。
言うまでも無く、専守防衛を国是とする日本の性格が如実に表れている銃だと言えるでしょう。


銃の特徴を知る事は、その国の性格を知る事にもつながります。
バイポッド一つとっても、その国の戦略的姿勢が見て取れるのです。
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ちなみにこの二人(M14、M16)、バイポッドの装着など全く考慮されていません。

By Americanですので。

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by clan-aaa | 2009-06-20 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
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