サイレンサーのお話
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よくよく考えると、血を吸う蚊はみな雌なんですね。

「女性に血を吸われている」と考えると、ちょっとぐらいあげてもいいかなという
解釈もやむ無しという気がします。冗談です。


さて今回は、蚊の話ではなく「サイレンサー」の話です。
ご静聴をお願いします。


■サイレンサー?サプレッサー?

映画や漫画によく出てくる銃のアクセサリーの中で、特に勘違いが多いのが
サイレンサーです。

まず一番の誤解は、サイレンサーで銃声を消す事は出来ません。

映画などで、サイレンサーをつけた途端に
「プシッ、プシッ」とほぼ無音になるシーンをよく見かけます。
しかし、大半のサイレンサーは、銃声を「抑圧する」だけであって、
「消音する」事は出来ません。

ですので、厳密に言えば「サイレンサー」ではなく「サプレッサー」という表現が正しいのですが、
特に日本では前呼称が定着してしまったので、当記事においても
「サイレンサー」の表記で統一します。


大型のライフル弾を使用するアサルトライフルに限って言えば、
サイレンサーはまさに銃声を「抑圧する」だけの存在に他なりません。
ですので、アサルトライフルでサイレンサーを使用する場合は、
例えば突入時に銃声で人質の鼓膜を刺激しないよう配慮する状況や
夜間において銃口から発生するマズルブラストが目立たないようにする状況が考えられます。


ではなぜ、大半のサイレンサーは銃声を抑圧する事しか出来ないのでしょうか。


■銃声の正体

そもそも、「銃声」の正体を掘り下げると、

①銃口から出る燃焼ガスの爆発音
②弾頭飛翔時に発生する強力なエネルギー衝撃波
③銃本体の作動音


これらの要素が複雑に絡み合って、銃声は発生します。
少なくとも、この3点を解決しないと、銃声を消す事は出来ないのですが
サイレンサーだけでは①しか解決できません。
何故なら、②は飛翔中の弾頭の問題、そして③は銃本体に起因する問題だからです。


②は、弾頭の飛翔速度が音速を超えた際に発生する
「ソニックブーム」の事です。
大半の小銃・拳銃弾の弾速は音速を超えているので、
サイレンサーをつけてもあまり意味が無い、というわけです。


ということは、弾速を音速以下に抑えれば②は簡単に解決することが出来るんじゃね?
という発想の元、開発されたのが「サブソニック(亜音速)弾」です。
これは、わざと威力を落として弾速を音速以下(360m毎秒以下)に抑えた弾薬です。
これを使えば、②の問題を解決する事が出来ます。


③は、ライフルだとボルト、拳銃だとスライドの閉鎖・開放音が主な原因です。
金属同士がぶつかる以上、音は必ず発生するので、この問題は
「一発づつ手動で撃つ」事で解決する事が出来ます。

しかしながら、大半の銃はこれら全てを解決する手立てが無いので、
ただ単にサイレンサーを付けただけでは銃声を抑える程度の効果しか見込めません。


ところが、これら3点をほぼ全て解決した数少ない銃が存在します。
それが、米軍の開発した特殊作戦用消音ピストルです。


■「消音」拳銃

アメリカ軍によって開発された消音ピストルは、スライドロックと呼ばれる部品によって
手動単発式にされたベレッタM92FSに、特殊なディスクを挿入したサイレンサーを装着する
特殊消音ピストルです。
サブソニック弾を使用する事が前提だと思われますが、
サイレンサー内部の特殊ディスクによって通常弾薬でも十分な消音効果が
期待できるといわれています。
未だに存在自体が秘密とされているので詳細は明らかにされていませんが、
無音とまではいかないものの、非常に小さな射撃音で発砲することが可能だといわれています。
ですので、この銃に限っては「サイレンサー」という表記が適切な数少ない存在だと言えます。


なんだか男の子のロマンを詰め込んだようなピストルですが、
アメリカ軍というのはスパイ映画顔負けなおもちゃを結構本気で作っていたりします。

ご静聴ありがとうございました。
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by clan-aaa | 2009-06-30 10:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
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