現代機関銃の雄 MG3②
前回の続きです
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竹取物語に「火鼠の皮衣」というミラクルグッズが出てきますが、
あれ実は石綿布ではないかと言われているそうです。なるほど合致がいく話ですね。


さて、今回は前回に引き続き、MG3の構造的特徴を掘り下げていきたいと思います。
完璧にも思えるマシンガンの、意外な弱点とは―


■「プレス工法」の立役者

MG3の元となったマシンガン、MG42は、さまざまな運用が可能な汎用機関銃「GPMG」というカテゴリを確立させた
ソフト面ばかりが評価されますが、構造的特長に伴う製造過程面での進歩も注目すべき点です。


それまでのマシンガンは、「レシーバーとボルト」が結合することで閉鎖を成しえるものがほとんどで、
その為レシーバーは強固で重厚なつくりにせざるを得ず、重量もかさんでしまう欠点がありました。


しかし、MG42は一対のローラーがついた「ボルトとバレル」が直接かみ合うことで閉鎖を成しえる
ローラーロッキング・システムを備えることで、閉鎖・開鎖をボルトとバレルのみで完結させています。
これにより、それまで大変な手間がかかっていたレシーバーの製造に
「プレス工法」を用いることを可能とし、後のマシンガンやアサルトライフルの製造工法に
多大な影響を残すことになります。


■名機関銃の欠点

しかし、この閉鎖機構の特徴上、バレルは本体内部でポジティブに固定する必要があるので、
バレルは本体に内包される形となります。
その点は設計者も難儀したようで、レバー一つで素早くバレル交換が出来るようにしたものの、
熱せられたバレルを交換する際に持つ握把は省略されてしまいました。

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これによって、MG42/MG3は銃身交換という、迅速性を要求される行為において、
耐熱グローブを装着せねばならない欠点を生むことになります。


ちなみに、MG42を参考としたアメリカのGPMG「M60」でも、
この欠点が「しっかり」受け継がれているのは、実に面白いですね。
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MG3もM60も、かつてはアスベスト・グローブを使用していましたが、
現在では化学合成繊維製の耐熱グローブで代用しています。


それでも、旧来的な欠点を抱えるMG3が、設計完了から半世紀以上経った今でも
現用兵器として活躍しているのは、それだけ欠点を補って余りある魅力を
持っている歴史的名機関銃であるからに他なりません。
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次回は、GPMG東の横綱「PKM」を取り上げる予定です。
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by clan-aaa | 2009-11-21 00:00 | 「小銃少女」 | Comments(5)
Commented by くろと at 2009-11-21 11:21 x
昔、小学校で使われてたアルコールランプの石綿もアスベストが入ってたそうで…
耐熱製品にも優秀だったんですね(あとあとヤバいんですが)
 
MG34なぞは更に銃身自体を横にずらす機構でこうかんしなきゃならなかったようですよ
焼き付いて出てこなかったらどうしたんでしょうね?
Commented by たかさん at 2009-11-21 11:32 x
今でも、肩に担ぐあの撃ち方をつかうんですね
ドイツ軍の訓練の様子を見たんですがまるで武装SSのようでした
Commented by max123 at 2009-11-21 21:15 x
 ローラ嬢のカラー口絵のデザイン、本格的だと思いました。
 MG3は、「キャリングハンドルを銃身交換用グリップにする」のは、無理だったのでしょうか。
Commented by clan-aaa at 2009-11-21 21:19
>くろとさん

古い建築物だと十中八九使われたと聞くので、もはや逃げ場が無いですよね。。。

機関銃では銃身にかなりの熱が加わり、それに伴う動作不良に
どこも苦心していましたが、ドイツは銃身鋼の製作に長けていた事が
かの名機関銃の誕生を支えていました。
日本も長年ドイツのボーレル社製銃身鋼に頼っていたようです。


>たかさん

あの撃ち方は独特ですね。
イヤーマフこそ装着していますが、確実に難聴になりそうな気がします。
Commented by clan-aaa at 2009-11-22 01:41
>max123

ニアミスコメント申し訳ありません。。。
拍手レスありがとうございます^^励みになります。

MG42はローラーロッキングの数ある形態の中でも、
バレルが前後動する事でロックを解く、「フルロッキング」を備えています。
つまり射撃中はバレルが激しく動いているので、もしキャリングハンドルが
ついている場合、激しく連動することになり、作動不良にもつながりかねません。
ですのでその欠点がわかっていながらも、戦後生産されたMG3でも
キャリングハンドルが取り付けられなかったようです。

ちなみに、MG3の分家進化型であるHK21マシンガンでは、
バレルを固定した状態でロックを解く「ハーフロッキング」を備えることで
ローラーロッキングでありながらも、この問題を見事に解決しています。

http://www.hkpro.com/index.php?option=com_content&view=article&id=32:the-hk21e
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