国産GPMG "62式機関銃"の軌跡①
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機械に弱い人間になる事だけは避けたいなと思うんです。


さて、今回は国産GPMG「62式機関銃」という事で、
まずは本邦の機関銃史について簡単に触れていきたいと思います。

■日本とホチキス機関銃

日本の機関銃史を語ると、古くはガトリングやミトライユーズ、ノルデンフェルトにまで遡ってしまうので、
今回は現代機関銃を主軸として進めていきたいと思います。


日本軍と現代機関銃との付き合いは、意外にもマキシム機関銃からスタートします。
頭読みをとって「馬式」(もしくは麻式)として試験的に輸入採用される事になったマキシム機関銃でしたが、
残念ながら当時の軍部はそれを使いこなすことも、また技術をコピーする事さえままなりませんでした。
この失敗は、後にわが国におけるベルト給弾式歩兵用機関銃の開発の遅れの遠因となります。


そんな折、フランスへ商業視察に訪れていた軍部御用の総合商社「高田商会」は、
当地の気鋭機関銃「ホチキス機関銃」の輸入代行権を獲得、軍部への売り込みに成功します。
このガス圧利用・保弾板装填方式のホチキス機関銃「保式」を日本軍が制式採用したことは、
その後終戦を迎えるまでに開発された国産機関銃の命運をも決定付けました。


余談ですが、旧日本軍の陸戦歩兵用制式機銃の中にベルト給弾式は一つもありません。
当時の軍部もベルト給弾式機銃の有用性は理解していたはずですが、弾薬の過大浪費という
ロジスティック上の大問題が、ベルト給弾機銃の開発を断念させた最大の理由である事は間違いないでしょう。


さて、こうしてホチキス機関銃でガス圧利用方式のノウハウを会得した日本軍は、
いよいよ完全国内設計機関銃の開発に乗り出します。


こうして大正3年に完成したのが「三年式重機関銃」でした。
ほぼホチキスよろしくな構造ではあったものの、「九二式」「一式」といった
後の日本機関銃史に残る傑作の系譜へとつながる意味では意義のある日本初の独自開発機関銃でした。


しかし、ここで日本の機関銃開発はピークを向かえる事になります。


■日本機関銃史の凋落

満州事変で中国軍と対峙した日本軍は、ある一丁の機関銃に大変な衝撃を受けます。
その正体こそ、当時世界中を席巻していたチェコ製機関銃の世界的傑作「Vz26」でありました。


この当時、日本には「十一式軽機関銃」という国産機関銃が制式配備されていましたが、
これが何かと色物な機関銃で、独自性を出そうと必死になって失敗した、典型的「迷」機関銃でした。
ちなみに装弾機構(ホッパー弾架)が何かともてはやされ、評価されている十一式ですが、
同様の装填機構はすでにイタリアのフィアット重機関銃が開発していた事を付け加えさせて頂きます。


さて、そんな折に受けたチェコ軽機の衝撃によって、日本軍はチェコ軽機をほぼコピーした
「九六式」「九九式」を、十一式にかわる軽機関銃として制式採用する…のですが、
残念ながらここにて終戦を迎えてしまいました。


終戦後、アメリカは日本の兵器開発力を完全に骨抜きにするのですが、当然これには機関銃の
開発機材・資料も含まれており、これまで連綿と紡がれてきた日本機関銃開発のノウハウは
完全に途絶えることになります。


そんなわけで、戦後における日本の機関銃開発は、完全に白紙の状態からスタートする事になります。
しかし、いくら機材や資料を破壊しようとも、技術者の英知だけは破壊する事が出来ません。

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次回、国産初のベルト給弾GPMGにかける、熱き男たちの挑戦が始まります!
が!最後の画像で台無しです!
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by clan-aaa | 2009-12-02 00:00 | 「小銃少女」 | Comments(10)
Commented by Tetsundo3 at 2009-12-03 05:27 x
いつも楽しく、感心して拝見しています。でも、今回の「コックオフ」という吹き出しは、よくある間違いだと思うのですが、どうお考えでしょうか? 英語の辞書にも、銃器用語事典にも、「cook-ff」とあって、「cock-ff」という言葉は存在しません。
Commented by clan-aaa at 2009-12-03 08:16
Tetsundo3さんはじめまして。
いつもご覧頂きありがとうございます。

ご指摘の件に関してですが、私もこうした読みの発音には大変悩まされる部分があります。
例えば、「cook」という単語ひとつとっても、本来の発音は「クック」が正しいのですが、
調理する人の事を「コックさん」と呼ぶように、用途によって変わる場合が多いように思います。

ですので、私はなるべく国内の文献を参考に、主流となっている読みを選ぶようにしています。
「cook off」の場合ですと、翻訳家の小林宏明氏は「クックオフ」が正しいと
申しておられますが、斯界の第一人者である床井雅美氏の著書によれば
「コックオフ」とあり、また国内主要文献でも同読みを使っている場合が多いと
判断致しましたので、今回は「コックオフ」を選ばせて頂きました。

読者の皆様に誤解を招かぬよう、わかりやすい表現を目指しておりますので、
今後もまたTetsundo3さんが疑問に思われたことがあれば、どうぞお気軽にご指摘下さい。

今回は貴重なご意見をありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
Commented by くろと at 2009-12-03 10:03 x
ベルト給弾の場合、ボルトの後退不良があった場合はこんな風に暴発して止まらなくなってしまうんですねぇ
実際に起こったらどうやって止めるんでしょうか(´ω`;)
 (まぁ実際に弾切れまで安全な場所に撃ちこむしかないんでしょうが)
 
しかし、銃を置きっぱなしで行ったらバイポッドを撃ちこんでない限り吹っ飛んじゃうんじゃ・・・?(笑)
Commented by ロンリーさん at 2009-12-03 20:48 x
 ついにやってきました。ちひろさん。続編、楽しみにしてます。
 フィアット重機関銃、初耳です。ホッパー機構は、日本独自では無かったのですね。勉強になります。「無故障のチェッコ機銃」が、個人的な好みです。
 ところで、名前を変えても宜しいでしょうか。「max123」改め「ロンリーさん」です。
 論理的でないが、論理的を目指し、孤独を招く私には、「ロンリーさん」がいいかと。
 もし、サイト内検索などに不自由があるなら、ご一報下されば、再考いたします。勝手を申し上げますが、ご一考のほどよろしくお願い申し上げます。
Commented by clan-aaa at 2009-12-04 01:20
>くろとさん

この場合、射手はアモベルトを強引に引きちぎって止めています。
もちろん暗に処理されている方法ですが、この背景には使った弾数を
必ず報告せねばならない、自衛隊ならではの実情があるようです。

銃放置の件、大変鋭いご指摘だと思います。。。
銃が暴れて給弾に支障をきたす、現実だとまさにおっしゃる通りになると思います。
逃げになってしまいますが、ここは一つ「漫画」という事で目をつむって頂けると助かります^^


>ロンリーさん

素敵なお名前だと思います^^これからもよろしくお願いします。

チェッコ機銃は私も好きです。
コピーのブレンガンの方が有名ですが、より洗練され、また弾薬面でも
Vzが優っているように思います。
Commented by tieren at 2009-12-06 15:53 x
フルオートの暴走ですか、Gun誌付録DVDでスターリングSMGで意図的に発生させた動画を見ましたが、ベルト給弾LMGで、となるとさらに恐ろしいですね。
構造上クックオフしない替わりに後退不良による暴走、オープンボルトファイアリングの小火器共通の泣き所ですね。
軽機のオペレーション上、レギュレーターの調節がどれだけ大事かがよよく分かります。(もちろんクリーニングの重要性も)

ちなみ自分はBren派です。
どうにも最近英仏の小火器が好きなものでして。
Commented by clan-aaa at 2009-12-06 18:07
英仏の小火器とはまた乙なチョイスですね。
かつての造兵王国のなごりもあって個性的なものが多く、私も好きですよ。
L4やFR狙撃銃なんか、かの国らしい造兵意識がうかがえて面白いですね。
Commented by tieren at 2009-12-08 15:52 x
L4は実に(良くも悪くも)英国らしい銃ですね、同国の名機スピットファイアを彷彿とさせます。
FRについてはあまり詳しくないのですが、ベースのMAS36ライフルはかなり好みです。
リー・エンフィールドもMASもあの独特のレシーバー構造が興味を惹かれます。
まだまだ言葉は尽きませんが、際限が無くなるのでこの辺にしておきます。

忙しい中更新・コメント返信お疲れ様です。
引き続き、後編にもコメントさせていただきます。
Commented by t62 at 2010-10-26 15:56 x
62式はオープンボルトなのでコックオフは起きないのでは?
Commented by 鉄腕カブト at 2010-12-02 16:13 x
 九六と九九は中身がVz26と別物だろうが。
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