失敗作”62式機関銃”を使い続ける日本
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(記事中PDF「事案概要」における74式車載7.62mm機関銃とは
 62式機関銃の装甲車両搭載用モデルのことです)



当ブログにおけるアクセス数ダントツの記事がローラのセミヌード回
なのは今回の記事と全く関係ないのですが、これに次いで人気なのが
62式機関銃(前編後編)についての記事です。


この記事について、様々な方からご感想を頂いたのですが、
その大半が62式を否定的に評価している記事内容に対する批判でした。


ブログで公開している以上、様々な意見を受けて然りだと思っていますので、
この「62式の批判に対する批判」については大いに歓迎なのですが、
当該記事だけは特に感情的かつ攻撃的な意見を寄せてこられる方が多いので、
「国産銃器(兵器)の評価はその自国民が最もシビアに下すべき」だとする私の見解背景を
冒頭の住友重機械工業指名停止の一件に絡ませこの場で述べさせて頂こうかと思います。


【マシンガン後進国、日本】

まず第一に、冒頭の住重指名停止にも見られるように、日本の機関銃サプライヤーは極めて質が低い
という現状を理解する必要があります。
今回の入札停止は何も62式機関銃に限った話ではなく、同社がライセンス生産している
M2ブローニングとMINIMIにおいても試験数値改ざんや品質低下を行った点が極めて悪質です。
住友重機械工業とファブリックナショナルの間でどのような契約が交わされているのか不明ですが、
今回の一件によって今後の契約内容に影響が出る可能性も否定できません。


住重だけでなく日本の国内銃器メーカでは、海外銃器メーカとライセンス生産契約を結んでいるケースが
多く見受けられます。ここで銃器製造における主な契約形態の違いを整理すると、

①ライセンス契約
→「あなたの国は安心出来るので、設計図から製造ノウハウまで全部教えてあげますよ
  製造コストは企業努力で頑張って下げてね」

②ノックダウン契約
→「あなたの国は製造技術や信頼がちょっと低いので、大まかな部品ごとに売ってあげます。
  値段はちょっと高くなるけど組み立てるとこだけ自分でやってね」

③直接契約
→「あなたの国は技術力も信頼も無いけど、どーしても欲しいなら完成品を定価で売ってもいいよ」


日本の場合、官用ピストルやマシンガンの大半が①ライセンス契約に基づいて生産されています。
今回の住重のケースは、62式だけでなくM2ブローニングやMINIMIの品質に対しても
悪意をもって低下させる背信を行った為、両企業の信頼関係が低下した事で
今後の契約に影響が出る可能性があるのです。


特にファブリックナショナルは、WWⅡ後の西ドイツが「FALを採用するので売ってほしい」と打診したところ、
「お前の国はまた攻めてきそうだからヤダ」とお断りしたケースがあり、
現代の日本とベルギーの関係ではまずありえない話とはいえ、
今回の一件が当事者間の信頼関係に与えた影響はかなり大きいと思います。


世界的にも定評のあるベルギー製機関銃はさておき、62式機関銃は現用GPMGで
最低の評価にしか値しませんので、本件を機に一日でも早く採用を取り止めるべき
この上ない税金の無駄遣いを象徴する存在です。
自殺拳銃こと九四式自動拳銃と62式機関銃、両者はカテゴリこそ違いますが
日本銃器史にその名を残す二大失敗作です。


そして一番の問題は、国産兵器が自国民の生死に直結している点です。


【失敗作”62式機関銃”は誰が生んだのか】

使い物にならない機関銃でも、安全で通い慣れた演習場で使用する限り、
さしたる問題は起きないでしょう。
せいぜい不具合を起こして上官に叱責され、現場に鬱憤が溜まるだけです。


ですが、戦争は突然起こります。
以前、62式の記事中で私は「戦争の起きるおそれのない今~」と述べましたが、訂正します。
戦争はいつか必ず、それも突然起きるものであり、
予見予防のしようがない人間の原始的生理行為です。


そんな有事の際に最前線で向かい合う軍用銃は、使用される側と使用する側、両者が等しく攻撃範囲に存在します。
遠隔操作の無人爆撃機や、訓練を受けないとエンジンすらかけられない戦闘車両と違い、
軍用銃は銃口が向いている方向が違うだけで、どちらにも死の機会が訪れる唯一の兵器です。


しかし、「動かない機関銃」の場合、
死は「使用される側」から遠退いて行き、「使用する側」へと寄り添って行きます。
突然動かなくなる機関銃が戦場でどれほど危険な存在なのか。
敵の味方をする機関銃に殺されてしまうのか。


自衛官を、人の命を何だと思っているのか。


ここまでに銃の評価や税金がどーだのと戯言を並べてきましたが、
これこそが一番、62式機関銃を失敗作であるとし、
国産銃器(兵器)の評価はその自国民が最もシビアに下すべきだとする理由です。


しかし、日本は国産兵器にとことん甘い国です。
戦争は起きないし、予算も無い、説明するのも面倒だからそのままで……とする役人と
兵器の自国生産が先進国の証明だと勘違いする自国民、
「戦争は起きるものではなく起こすもの」だと共通した誤解を持つ両者が半世紀以上、
かごの中で暴力装置を支配してきた現状はシビリアンコントロールの限界そのものであり、
動かぬ機関銃を生み出した張本人は、他ならぬ私達なのです。

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by clan-aaa | 2014-02-21 18:00 | ミリタリー | Comments(2)
Commented by charlie21c at 2014-02-22 16:09 x
読売で住友重機の改ざん事件を知った時は愕然としました。
あーこれで「日本製機関銃はダメだ論」が100パー真実になってしまうんだなぁと哀しくなりますね。
Commented by clan-aaa at 2014-02-24 11:59
>charlie21c 様

国産兵器に対する愛着は私もあるのですが、、、こと62式となると
うーん。。。擁護のし様がないとしか言えないのが残念ですね。
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