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G36は当たらない?命中精度不具合事件について
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↑問題となったDM11(MEN公式サイトより引用)


国の第三者機関とメーカーを交えた大々的な調査が行われました。
発覚当初は相当重く受け止められたようで、
銃器業界においても「あのHK社の主力製品がこのような問題を抱えていたとは」と
一大騒動となった経緯はご存知の方も多いはずです。


当初、バレル加熱時に発生する問題であった為にポリマー製のレシーバーが
その原因であると疑われていましたが、私はどうも腑に落ちませんでした。
製造元のHK社は歴史的にも樹脂部品の採用に逸早く取り組んだ企業ですし、
マテリアルの選択でそのようなミスを犯すとは到底思えなかったのです。


結果として、その原因は弾薬にあることが判明しました。
その内容は、製造ロットによってブレットのジャケット厚が規定よりも薄かった為に
安定した性能を発揮できなかったということらしいのですが、
何故ジャケットが薄いと命中精度が落ちるのか、そのあたりをちょっと触れたいと思います。



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この図は、問題となったドイツMEN社のDM11(SS109相当)のブレット断面の簡素図です。
今回問題となったのは、図中オレンジのジャケットの「厚み」です。
これが薄かった為に命中精度が下がりました。


ご説明に入る前にご理解いただきたいのですが、
今回のケースは様々な要因が絡み合った結果発生した問題ですので、
当記事では砲内弾道学に絞ってご解説したいと思います。


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この図は撃発直後、ブレットが銃身内部を通過する過程を断面で描いたものです。
ジャケットの厚みが十分であれば、図中青で示されたバレルのライフリングに
ジャケットがしっかりとくい込んで、ブレットを推進する燃焼ガスをしっかりと受け止めつつ、
ブレット前部への「ガス漏れ」を防ぐ事ができます。


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で、ジャケットが薄いとどうなるか、を表したのが上の図です。
今回問題となったケースですね。
ジャケットが薄いブレットはライフリングにしっかりとくい込む事ができず、
ライフリングとブレットの隙間から燃焼ガスが漏れてしまいます。


すでにこの段階でなんとなくお察し頂けるかと思いますが、
この状態ではブレットと銃身の関係が不安定なので、
銃身内部でブレットがぶつかり回りながら暴れます。
これを「バロッティング」といいます。
当然のことながら弾道に悪い影響しか与えません。

また、このブレットとライフリングの隙間から漏れ出すガスはとてつもない勢いで
せまーい隙間を通過するのですが、このとてつもない勢いによって、
「銃身内部の表面」と「ジャケット」の両者は急激な腐食・溶解を起こします。
銃身が磨耗することを「エロージョン」というのですが、
今回のようなケースは、特に「スコーリング」と呼ばれています。


スコーリングによって、銃身はたちまち老けていきますので、
銃身内部の表面は荒れ果てます。イメージとしてはザラザラした感じですね。
この荒れたお肌はやすりのような性質を持つので、ジャケットの表面を削り取ってしまいます。
銃身内部にジャケットの一部が付着(着銅といいます)した状態で射撃を続けると、
弾数を重ねるごとにブレットの旋動(回転運動)が不安定になり、命中精度が下がるのです。
連続射撃を行い加熱したバレルで発生した今回のケースだと合点が行くかと思います。


というわけで、砲内弾道学上ではこういった要因がざっと挙げられるかと思います。
砲外弾道学上からの解説については勘弁して下さい。
レイノルズ数とかマグナスモーメントとかむじゅかしい計算の話になるのでアホがばれます。
もうバレてるか。
記事中アホな記述がありましたらご指摘下さいませ。

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by clan-aaa | 2014-07-04 06:00 | Comments(2)