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失敗作”62式機関銃”を使い続ける日本
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(記事中PDF「事案概要」における74式車載7.62mm機関銃とは
 62式機関銃の装甲車両搭載用モデルのことです)



当ブログにおけるアクセス数ダントツの記事がローラのセミヌード回
なのは今回の記事と全く関係ないのですが、これに次いで人気なのが
62式機関銃(前編後編)についての記事です。


この記事について、様々な方からご感想を頂いたのですが、
その大半が62式を否定的に評価している記事内容に対する批判でした。


ブログで公開している以上、様々な意見を受けて然りだと思っていますので、
この「62式の批判に対する批判」については大いに歓迎なのですが、
当該記事だけは特に感情的かつ攻撃的な意見を寄せてこられる方が多いので、
「国産銃器(兵器)の評価はその自国民が最もシビアに下すべき」だとする私の見解背景を
冒頭の住友重機械工業指名停止の一件に絡ませこの場で述べさせて頂こうかと思います。


【マシンガン後進国、日本】

まず第一に、冒頭の住重指名停止にも見られるように、日本の機関銃サプライヤーは極めて質が低い
という現状を理解する必要があります。
今回の入札停止は何も62式機関銃に限った話ではなく、同社がライセンス生産している
M2ブローニングとMINIMIにおいても試験数値改ざんや品質低下を行った点が極めて悪質です。
住友重機械工業とファブリックナショナルの間でどのような契約が交わされているのか不明ですが、
今回の一件によって今後の契約内容に影響が出る可能性も否定できません。


住重だけでなく日本の国内銃器メーカでは、海外銃器メーカとライセンス生産契約を結んでいるケースが
多く見受けられます。ここで銃器製造における主な契約形態の違いを整理すると、

①ライセンス契約
→「あなたの国は安心出来るので、設計図から製造ノウハウまで全部教えてあげますよ
  製造コストは企業努力で頑張って下げてね」

②ノックダウン契約
→「あなたの国は製造技術や信頼がちょっと低いので、大まかな部品ごとに売ってあげます。
  値段はちょっと高くなるけど組み立てるとこだけ自分でやってね」

③直接契約
→「あなたの国は技術力も信頼も無いけど、どーしても欲しいなら完成品を定価で売ってもいいよ」


日本の場合、官用ピストルやマシンガンの大半が①ライセンス契約に基づいて生産されています。
今回の住重のケースは、62式だけでなくM2ブローニングやMINIMIの品質に対しても
悪意をもって低下させる背信を行った為、両企業の信頼関係が低下した事で
今後の契約に影響が出る可能性があるのです。


特にファブリックナショナルは、WWⅡ後の西ドイツが「FALを採用するので売ってほしい」と打診したところ、
「お前の国はまた攻めてきそうだからヤダ」とお断りしたケースがあり、
現代の日本とベルギーの関係ではまずありえない話とはいえ、
今回の一件が当事者間の信頼関係に与えた影響はかなり大きいと思います。


世界的にも定評のあるベルギー製機関銃はさておき、62式機関銃は現用GPMGで
最低の評価にしか値しませんので、本件を機に一日でも早く採用を取り止めるべき
この上ない税金の無駄遣いを象徴する存在です。
自殺拳銃こと九四式自動拳銃と62式機関銃、両者はカテゴリこそ違いますが
日本銃器史にその名を残す二大失敗作です。


そして一番の問題は、国産兵器が自国民の生死に直結している点です。


【失敗作”62式機関銃”は誰が生んだのか】

使い物にならない機関銃でも、安全で通い慣れた演習場で使用する限り、
さしたる問題は起きないでしょう。
せいぜい不具合を起こして上官に叱責され、現場に鬱憤が溜まるだけです。


ですが、戦争は突然起こります。
以前、62式の記事中で私は「戦争の起きるおそれのない今~」と述べましたが、訂正します。
戦争はいつか必ず、それも突然起きるものであり、
予見予防のしようがない人間の原始的生理行為です。


そんな有事の際に最前線で向かい合う軍用銃は、使用される側と使用する側、両者が等しく攻撃範囲に存在します。
遠隔操作の無人爆撃機や、訓練を受けないとエンジンすらかけられない戦闘車両と違い、
軍用銃は銃口が向いている方向が違うだけで、どちらにも死の機会が訪れる唯一の兵器です。


しかし、「動かない機関銃」の場合、
死は「使用される側」から遠退いて行き、「使用する側」へと寄り添って行きます。
突然動かなくなる機関銃が戦場でどれほど危険な存在なのか。
敵の味方をする機関銃に殺されてしまうのか。


自衛官を、人の命を何だと思っているのか。


ここまでに銃の評価や税金がどーだのと戯言を並べてきましたが、
これこそが一番、62式機関銃を失敗作であるとし、
国産銃器(兵器)の評価はその自国民が最もシビアに下すべきだとする理由です。


しかし、日本は国産兵器にとことん甘い国です。
戦争は起きないし、予算も無い、説明するのも面倒だからそのままで……とする役人と
兵器の自国生産が先進国の証明だと勘違いする自国民、
「戦争は起きるものではなく起こすもの」だと共通した誤解を持つ両者が半世紀以上、
かごの中で暴力装置を支配してきた現状はシビリアンコントロールの限界そのものであり、
動かぬ機関銃を生み出した張本人は、他ならぬ私達なのです。

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by clan-aaa | 2014-02-21 18:00 | ミリタリー | Comments(2)
Remington R51とヘジテーション・ブローバック
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今年のショットショーで発表された数ある新製品の中で、
一際目立っていたのがレミントンのR51だと感じているのは私だけではないはずです。
AR-15の焼き直しやグロックのフォロワーで食傷気味だった米銃器市場にとって、
ディレイドブローバックの米国製新型ピストル、しかもあのロングガン最大手のレミントンが
投入してきたというニュースが与えたインパクトはかなり大きかったんじゃないかと思います。


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R51が登場するまで、私の知る限りレミントンは半世紀以上自社オリジナルハンドガンの製造から
手を引いていましたが、そんな同社がかつて製造していたピストルがR51の
先代にあたるM51ピストルであり、このピストルを最後にレミントンは長きに渡って
ピストル事業と距離を置くことになります。
歴史の浅いアメリカで一番歴史の長い銃器メーカーであるレミントンらしいネーミングセンス
なのですが、名前だけでなく内部構造もほぼそのまま踏襲している点は
とても好感が持てるポイントなんですよね。


このM51とR51に搭載されているメカニズムは、
通称ヘジテーション・ブローバックと呼ばれるものですが、要はディレイド・ブローバックです。
ややこしーくメカニズムごとに細分化した呼称が
ヘジテーション(Hesitation=ためらう、の意)ブローバック、
大まかな分類で言えばディレイド・ブローバック、となります。


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簡略して構造を説明しますと、
まずR51のスライド(青)内部には、ブリーチ・ブロック(赤)と呼ばれる独立した部品が入っています。
両者は傾斜した溝でかみ合っています。このセットをスライドグループ(青+赤)と呼びます。

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撃発後、スライドグループは後退しますが、ブリーチブロックのみがフレーム(オレンジ)の
突起にぶつかって動きが止められます。
ボア内部の圧力が下がるまでちょっと待たんかい、って感じで行き遅れるんですね。

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しかしスライド内部の傾斜(濃い青)とブリーチブロックがぶつかる事で
ブリーチブロック後端が上昇、フレームから開放されます。
この間、ブレットが銃身から放たれ、チャンバー内部の圧力が下がるまでの時間稼ぎを
行っている点が、ディレイド(遅延)ブローバック、と呼ばれる所以です。
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ここでよくある疑問が、M1911のようなショートリコイル方式との違いです。
両者の決定的な違いを把握していれば、例えば閉鎖方式が
同じローラーロッキングであるG3とMG3、前者はディレイドブローバック、
後者はショートリコイル方式であると即座に理解できるようになります。

上述したR51のディレイド・ブローバックの場合、撃発後バレルとスライド(+ブリーチ・ブロック)は
即座に離ればなれになります。
撃った瞬間「はいさよならー」ですな。


M1911のショートリコイル方式の場合、バレルとスライドはしばらくの間つながったまま後退します。
撃った直後も「やだ!離れたくない!」とつながったままですな。
M1911のようなティルトバレル構造の場合だと「しばらく後退」したのちバレルが傾斜し、
離ればなれになります。
この、「しばらく後退」の距離が弾薬の全長より短いので「ショート」リコイル方式と呼ばれます。
ちなみに弾薬の全長より長い距離つながったまま後退するのであれば「ロング」リコイル方式ですね。
ショルダーウェポンだとほとんど見かけませんが。ハンガリーのゲパードなんかが有名でしょうか。


つまるところ、両者の決定的な違いは
「撃発直後、バレルとスライド(ブリーチ)が完全に閉鎖されているかどうか」といえます。


両方式、一長一短ありますが、ディレイドブローバックの場合は

①バレルが固定できるため命中精度が確保しやすい
②(自動拳銃の場合)リコイルスプリングのレイアウトが柔軟なので、コンパクトに設計できる
 →R51のようにリコイルスプリングを銃身周囲に設定すれば、ボアラインも下げられる!
  命中精度がもっとあがる!うひょおおお!!!
③(R51の場合)ブリーチブロックを独立させた恩恵として、リコイルスプリングのレートを軽くできる


いやーいいことずくめですね!
と言いたいところなのですが、ことR51では短所として

①機械強度に不安がある
(私個人の印象です。工業製品としての経験値が問題かなと思います)
②構造が複雑

だと感じています。
②に関してはショットショーのブースでもディプレイモデルが組み立て不良で
説明員が再度組み上げなおしていた、などと指摘する記事もあり、ちゃーんと説明書読まなきゃ
ダメよーん!な感じが、アップル製品に見られるマニュアル排除志向なアメリカ人たちに
果たしてどこまで評価してもらえるのか、という不安を感じます。


それでも、猫も杓子もショートリコイルなハンドガン市場において
レミントンというアメリカを代表する老舗ガンメーカーがこういう形で勝負に出た事は、
実に魅力的ですよね。

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by clan-aaa | 2014-02-12 03:39 | ミリタリー | Comments(2)
FN FNC
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まだ懲りずにAVAをやっています。

つい先日のアップデートでFNCが実装されたので、買ってみました。
シャープシューターバレルとウェイトグリップの組み合わせがベストなように思います。
それまで使っていたSAKOは下取りに。さよーならSAKO。


ところで、AVA公式サイトのFNC解説文にこういう一文があります。


―FN-FNCは性能的には決して悪くない銃器ではあったが、
登場した時期が1970年代半ばと遅かった

既に世界標準となりつつあったM16など5.56mmx45弾を使用する完成度の高いライフルが出回っており、
コスト面で不利なFNCは制式採用銃として市場に割り込む余地はもはや無く、
ベルギーの一部部隊で導入された他、スウェーデンやインドネシアなどの
中小国家で採用されただけに留まった。



この、「遅すぎたFNC」という一文を、特に日本の文献では本当によく目にします。

果たしてそうなのかというと、私はそう思っていません。


まず、主要各国の5.56x45mmNATO弾仕様主力小銃の採用時期を見てみますと、


アメリカ:M16
採用:1962年


フランス:FA-MAS
採用:1977年

オーストリア:Stg77
採用:1977年

イタリア:AR-70/80
採用:1980年

イギリス:L85
採用:1985年

日本:89式小銃
採用:1989年

スイス:SG550
採用:1990年

ドイツ:G36
採用:1996年



FNCの基礎設計が完了した1976年以前は青、以降は赤で分別しています。
もうお気づきかと思いますが、銃の誕生時期とその採用如何はそれほど直結した問題とは言えません。
AVA公式の説明文には「既にM16など5.56x45mm弾を使用する完成度の高いライフルが~」
とありますが、M16の性能が実用域に達するA2が登場したのは1982年です。

70年代の時点で完成された5.56x45mmNATO小銃というと、シュタイアーAUG程度しか思いつきません。

つまり、FNCは際立ってその登場が出遅れたわけではないのです。
そして、FNCの後に登場していながら大きくシェアを伸ばした5.56x45mmNATO小銃など、
いくらでもあるのです。



ところで、M16は採用国数が大変多い銃です。
しかしながらその内訳を見ると、どれもアメリカ臭い国ばかりです。


つまるところ、当時の(今も)銃の採用は性能如何はもとより、メーカーの、製造国の営業力が鍵となります。
特に冷戦期の中小国の主力小銃を紐解くと、政治的背景が如実に浮き彫りとなります。
この辺りの話は私が以前小銃少女の中でも描いてきました。

小銃少女 ”―14番目の少女” 第2話 「TRIAL」

そして、冷戦期の先進国主力小銃には、普遍堅実な性能よりも革新性、
また自国開発・生産している事が最も優先される要求事項でした。
その点、完成され尽くした技術による堅実な性能がセールスポイントだったFNCは、
単に営業力に欠け、流行りを見誤ったと見るのが妥当でしょう。


FNCのこうした設計思想が持てはやされるようになるのは、90年代に入ってからになります。
しかし時既に遅し、この頃には銃の構成主要素材が金属から樹脂へと移り変わってしまいました。


時代よりも流行に翻弄された銃、それがFNCだと言えるのではないでしょうか。
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by clan-aaa | 2010-01-15 01:00 | ミリタリー | Comments(15)
Kriss Super V
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AVAで先日アップデートされたクリス・スーパーVがゲーム内で強すぎて萎えます。
みんなこぞって使っているものですから、どこの試験場だよって思わずつっこみたくなります。


クリスはボルトが完全後座した際に発生する衝撃を
射手方向へ向けるという銃器原理の基本を根本から覆す構造を
採用した事がその特徴として紹介される事が多いのですが、
特に日本では多くの文献で間違った認識がなされているように思います。


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クリスのボルト移動過程について、具体的には銃本体下部、射手寄り斜め下へ
ボルトアッセンブリーを後座させます。
これによりボルト最後座時の衝撃はほぼ直下へと向けられる事になります。

AVA解説然り、ここで勘違いしている文献が多く見受けられるのですが、
クリス最大のセールスポイント、フルオート時の良好な反動吸収構造は
上記による所が大きいのではありません。
そもそも、ボルト後座時の衝撃はリコイルエネルギーの一部に過ぎません。
フルオート時における銃の暴れ具合は、

①ボルトの質量
②弾薬の威力


そして

③銃身線の位置

これが極めて重要に関係してきます。


何故銃身線の位置が重要なのかと申しますと、
まず銃の反動は、装薬が発火した際に銃口とは逆方向に発生する
反作用エネルギーが非常に大きく関係しています。

これはボルトの後座方向をいくら変えようが、銃身が射手と直角に交わる限り、
そのベクトルを変える事の出来ない強烈なエネルギーです。

よって、銃身はグリップハンドとほぼ同直線上にある方が、反動をより効率的にコントロールする事が出来ます。
かつて、ソ連が銃身線を極限までグリップハンドと同直線上にもってきた
競技専用ピストルをオリンピック等で使用していましたが、現在では使用禁止となっています。
それほどまでに命中精度と銃身線の関係は重要なのです。

そこでクリスをよくよくご覧いただきたいのですが、クリスの銃身は
グリップハンドとほぼ同直線状にあるのがお分かり頂けるかと思います。
これは競技用ピストルに匹敵する理想的銃身位置です。


つまり、クリスが何故ボルト後座方向を下方向へ持ってきたのかというと、
銃身線を理想的位置に近づけた結果なのです。



そして次にボルトの質量ですが、これは小さければ小さいほど、
ボルト最後座時と復座時の衝撃と重心移動を抑える事が出来ます。
クリスは独自の緩衝装置によってボルトの質量を極めて抑える事に成功しています。
私の知る限り、これほど小さなボルト質量の45口径ブローバック(遅延式)SMGは
クリス以外に存在しないと思います。


但し、無闇に軽いボルトがベストだとは言い切れません。
AKやUZIといった傑作軍用銃は本体重量に対するボルトの質量の割合が大きく、
暴れやすい性格を持つ代わりに、異物混入時や環境の変化による
排莢・抽筒不良に対して大変強い特徴があります。


つまり、この極めて質量の小さなボルトによって反動の発生を抑えている点
そして、理想的位置にある銃身線、これら2点が
これまでのSMGとは一線を画している、すなわちクリスだけが持つ長所なのです。


そういった意味では45口径SMGという、アメリカが長年追い続けてきた理想的SMGの一つのゴール、
といえるかもしれません。

ただ、奇をてらった構造は注目された後に欠点が判明・淘汰される運命にあるので、
100年来の構造革命と持てはやされるVシステムが、今後生き残るとは到底思えません。
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by clan-aaa | 2009-11-11 21:49 | ミリタリー | Comments(6)
AR-15の真価
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「SIG516」 元祖AR-15レシーバーを採用したSIGの新製品です。
内部メカニズムなど詳細は不明ですが、ダイレクトインピンジメントではないだろうなと思います。

ついにSIGまでもが本格参戦といった様相です。
SIGはこれまでオリジナルアッセンブリーを多用したSIG556で市場の反応をうかがっていたようですが、
ここにきてついに本家本元仕様を選んだという事は、米国におけるAR-15の絶対的な市場優位性が
それだけ魅力的に映えたのあろうと思います。


AR-15は米国における最大のライフルマーケットです。
国内のみならず、これまでにも多くの有名銃器メーカーがその市場の覇権を争ってきました。
H&KがHK416(上)を出した時は驚きましたが、かつて最大のライバルメーカーであったS&Wまでもが
出した時も驚かされました。


ただ単に模倣しただけではなく、各社ともにオリジナリティを出した性格を全面的にアピールしており、
特に作動機構に関してはAR-15、もといダイレクトインピンジメントに対する
メーカーの見解が伺えるようで興味深いです。


いい物だから売れるのかというと、私は銃としての性能はあまり関係ないと思います。
端的に言えば、アメリカを象徴するライフルであるからに他なりません。
欧州市場じゃそれほど人気が無いのもその証左です。


話変わって、「AKとM16はどちらが優秀か」という、銃器界における有名な議論があります。
私はAKが優れていると思います。それも圧倒的にです。
両者の長所・短所を踏まえてきた上での持論として、AKが世界一優秀だと思っています。


銃は私のようなマニアや、専門家が評価を下すための工業製品ではありません。
権力も力も無く、どうしようも立ち行かなくなった人々が立ち上がるための
ウルティマ・ラティオ(武力による最終手段)です。


例えば、200m先に立っている人間に弾を当てると仮定して下さい。
当てる自信もなければ、当てられない方が大半だと思います。
ライフル射撃で国体に出場した私でも当てる自信は皆無です。


そして、銃はそうした人々が使う為に存在します。
ゴリラみたいな軍人だけが使うものではありません。
ですので、針穴を通すような命中精度が必要だとは思いません。


そうした判断基準で、どんな銃が優秀なのかを思案すれば、
答えは自ずと出てくると思います。
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by clan-aaa | 2009-09-22 17:22 | ミリタリー | Comments(3)
ネックダウンの話
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先日、とある読者の方からの投書により、重大な誤解が判明いたしましたので、
この場を借りて改めて訂正させて頂きます。

短期集中連載 ”―14番目の少女” 第2回 「 TRIAL 」

以前掲載した「―14番目の少女」第2話の中で、.308win弾を説明するシーンがありました。
このシーンでは、.308win弾は「30-06のネックダウンケース」だとしていましたが、
これは間違いでした。

今の今までずっと勘違いしていたのですが、「ネックダウン」というのは
ケース(薬莢)の背を低くしたものではなく、口を絞って小口径化したものを
指す言葉にあたります。
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最近だと.357SIGが有名なネックダウンケースではないでしょうか。
.357SIGは40S&Wのケースをネックダウンし、9mmパラベラムのブレットを挿入させたものです。
元より口径が小さくなっているので、ネックダウンというわけです。


では.308winは30-06の何ケースだと言えるのかというと、
サイズダウンケースあたりが妥当な表現かと思います。

そもそも、.308win弾と30-06弾の銃口初速はほとんど変わりません。

<銃口初速 (弾頭重量150グレインの場合)>

.308win 2820fps
30-06 2920fps



両者は、弾頭との組み合わせや距離によっては数値優劣が逆転する場合もあります。
カタログ上ではほぼ互角のパワーを持っていると考えていいと思います。

それでも未だに30-06がアメリカで人気なのは、マグナム装薬時の利便性と、
使用銃器の関係だと思います。


そういう事ですので、改めてご理解下さいませ。
お騒がせしました。


ネットを介して情報発信すると、こうした自身の初歩的な間違いに気付きやすく、また勉強になります。
「銃器に関する正しい知識と理解を広める」なんて謳っていますが、こういう事は多々あります。

自分の身の回りにはあまりこの分野に深い人がいないので、ネットを始めるまでは
まさに井の中の蛙だったのですが、ネットを介して情報発信していると
私が当に及ばないような恐るべき方々が大勢いらっしゃる事に気付かされます。
それは大変な勉強になるとともに、良い刺激にもなります。


今後もこのような事態は起こりうると思いますので、
そんな時はどうか遠慮なく意見していただけると大変助かります。
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by clan-aaa | 2009-09-18 20:00 | ミリタリー | Comments(2)
四式小銃の怪
唐突ですが、去る7月22日、アニメーターの金田伊功氏がお亡くなりになったそうです。
アニメを語る上で氏の残した功績はあまりにも大きいと思います。
かの近藤喜文さんも若くしてお亡くなりになったように、アニメーターという仕事は
自分の命を削ってアニメに命を吹き込む大変な職業であるのだなと思います。
ご冥福をお祈りします。


さて、話変わって先日「BattleField1943」がコンシューマー機にてリリースとなりました。
同シリーズの最新作という事で大変な人気を博しているそうですが、その中の一陣営として
旧帝国陸軍が登場します。
実際にプレイした方から感想などを聞いたところ、なんでも
「日本軍がセミオートの銃を持っている」との事。

旧軍が採用していた主力小銃の中に、セミオートは存在しないはず。。。。
と気になって調べてみた所、なんとその正体は
「Type 5 Rifle = 四式小銃」という事が判明しました。
まさかこんなものを持ってくるとは、ちょっと驚きでした。


まずこの銃を語る前に、ある誤解について説明せねばなりません。
この誤解は、世界的に広まってしまったものであり、せめて当ブログ読者の皆様だけは
正確な情報を理解して頂き、また非常に情報が少ない同銃に関する一情報源として自負するくらいの
覚悟で今回の記事を仕上げていこうと思います。
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(↑ 「試作四式小銃」 都野瀬光男著「幻の自動小銃」より)

旧軍では、数々の試作小銃、特に主力小銃のオートマチック化を主軸とした開発が行われていました。
その当時、各国軍隊も同様の開発を行い、来るべき「オートマチック戦争」に備えていたのですが、
セミオート化による弾薬消費量の増大による物資枯渇の危惧、
また旧陸軍における銃剣突撃等に見られる「精神力万能主義」が蔓延っていた為、
主力小銃のオートマチック化という安易な火力増強に対して理解が得られなかった背景がありました。


しかし旧海軍では自動小銃のオートマチック化の必要性を感じており、その開発を陸軍へ打診
(その当時の小火器開発は全て陸軍兵器局が掌握していた為)したのですが、
前述の理由により拒絶されてしまいました。

そこで旧海軍は兵器局での開発を諦め、同軍軍需指定工場であった愛知の民間企業ワシノ製機に対して
米軍からの押収兵器「M1ガーランド」を参考にしたオートマチック小銃の試作を命じます。
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(↑ 「四式小銃製図」 戦後豊和工業によって再調査されたもの)

こうして完成したのが「四式小銃」です。
当初250丁程度が製造されたのですが、ガーランドで使用するM1実包の弱装仕様ともいえる
九九式実包では作動面に難があり、特にボルトアッセンブリーの後退不良による排莢不良が絶えず、
ワシノ製機は旧海軍に対して設計変更を求めましたが、その許可が下りる前に終戦を迎えてしまいました。


こうして試作止まりに終わった四式小銃は、その後米軍に押収され、調査される事になります。
この時、米軍の調査書に「Type 5 Rifle」と誤った名称が記されてしまった事が、誤解の発端です。


時は流れ60年代初頭、日本国内で自衛隊が使用する自動小銃の開発が開始されます(六四式小銃)。
開発を担当した豊和工業は、様々な自動小銃を調査・参考としたのですが、その際にあの四式小銃も
調査の対象となりました。
その際に用いられたのは、かつての米軍調査書。
誤った名称が記載されているにも関わらず、そのまま「Type 5 = 五式小銃」として
翻訳された同銃は実在数も少なく、情報に乏しい為、アメリカだけでなく、本国日本においても
誤解が広まり、定着し、現在に至ります。


紆余曲折を経た今、ようやくバトルフィールドにて日の目を見たにもかかわらず、
試作四式小銃は、間違った名称で呼ばれ続けているのです。


その誤解が解けるのは、いつになるのでしょうか。
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by clan-aaa | 2009-07-23 21:00 | ミリタリー | Comments(5)
HK416と自衛隊
「自動小銃固定用金具の製作以下3件」の契約希望者募集要項 (PDFファイル)
海上自衛隊横監公示第75号

5ページ目の調達予定品目をご覧下さい。

以前より海上自衛隊がHK416を試験採用しているという噂が立っていましたが、
どうやら本当だったようです。

固定用金具というのは、おそらく委託射撃の際に銃を固定する為の補助具であろうと推測されます。
精度試験や膣圧試験を行うという事は、かなり前向きに採用を検討している、
もしくは本採用間近である事は間違いないでしょう。


HK416は、米軍が採用している事で有名なM16をドイツのHK社が独自改良を加え開発した
「HK社版M16」です。

あれほど独自路線だったHK社が何故このようなコピーを開発したのかというと、
一つは世界最大のミリタリーマーケットである米国・米軍への販路拡大、
並びに同国が現採用小銃とするM16ファミリーとの並行採用をねらっている事
そして同国の退役軍人らが所属し、近年凄まじい勢いで拡大する民間軍事会社と、
それに付随するセキュリティ市場におけるM16シリーズの優位性を見込んだ点がその主な理由です。


何故退役軍人が所属する民間軍事会社への販路が見出せるのかというと、
彼ら退役軍人が現役時代に使っていたM16と操作性が限りなく近いものであれば、
その教練に費やす労力が省けるし、また世界一アクセサリーモジュールが充実している
M16シリーズの拡張性の高さは、他のアサルトライフルには無い魅力だからです。


しかし、そのような魅力のあるM16には、ただ一点だけ
「機関部が汚れやすい」という欠点があるのは周知の通りです。

その為、HK416ではM16シリーズ最大の特徴であるダイレクトインピンジメントシステムを廃し、
ショートストロークガスピストンによる間接作動方式に改められました。
詳しい解説は割愛しますが、要するに機関部への汚れにめっぽう強くなった改良が施されたのです。
これによって、HK416は「汚れに強いM16」という非常に強力な特徴を持つに至りました。


んで、肝心の海上自衛隊採用のHK416なのですが、
バレルサイズや仕様が公表されていないのでどういう目的でどのサイズを発注したのか不明です。
おそらくスタンダードな14インチだと思いますが、
先ほどの調達予定品目の中に「狙撃銃用輸入弾薬」とあるので、
20インチもありえるかもしれません。

やっぱないかな。多分マッチグレード弾の事を指してるんでしょう。
HK416を狙撃銃として使用する海上自衛隊特殊部隊という絵図は
個人的にそそるんですけどね。


私は89式小銃をあまり肯定的に評価していないので、HK416の採用は歓迎です。
お値段も多分フルセットのHK416の方が安いんじゃないかな。
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by clan-aaa | 2009-06-21 19:00 | ミリタリー | Comments(34)