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銃と剣
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5~6年前にストライダーというナイフがちょっとしたブームになっていました。
月刊コンバット誌の某有名ライター(個人的にあまり好きではないです)が大々的な賞賛記事を書いた途端、
日本では一種の神話的評価が蔓延った経緯があります。
デザインは悪くないのですが、ちょっと高すぎるだろと思います。

さて今回はそういったナイフや、ひとむの持つマチェットの話ではなく、銃剣=バヨネットのお話です。
前回取り上げた自動小銃の外的付加価値の一つであるグレネード・ランチャーと並び、
その存在が不可欠とされる銃剣ですが、何故ハイテク兵器が趨勢を競うこの時代に
前世代的な装具が自動小銃に必要なのでしょうか。

今回は、そんな不思議な存在「バヨネット」のお話です。

■剣としての銃

バヨネットは、その昔まだ小銃が単発式だった17世紀頃に生まれた武器です。
その当時、小銃は一発撃てば再装填に非常に時間がかかる道具であり、
緊迫した状況下では続けざまに連射する事は難しく、対峙する陣営は共に銃弾を一通り撃ち尽くすと、
銃を剣に持ち替え、号令を合図に一斉突撃を行っていました。


そうした戦況下で、非常に長い道具であった小銃を「槍」に見立て、銃口に短剣を装着し戦うようになります。
フランスのバイヨンヌ地方で生まれたこの武器は、その地名にちなんで「バヨネット」と名付けられました。

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バヨネットは、その後も主に西洋を中心に発達を続け、小銃が単発式から連発式になっても
その存在が絶対視されていました。
バヨネットを使用した戦争の中で、歴史上最も最大規模であったのが第一次世界大戦です。
塹壕戦による超至近距離での戦闘では、咄嗟に敵を刺殺出来るバヨネットは重要な存在だったのです。

しかし、その後バヨネットはその実用的価値を失っていきます。
小銃の発達と、それに伴う戦術の近代化によって、バヨネットそのもので勝利を収めるような戦況は
生まれなくなった
からです。

■自動小銃とバヨネット
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(「バヨネット・ラグ」の位置。左から順にM14、AK-47、六四式小銃、M16A2)

アサルトライフルとして必要な条件の一つに、「バヨネット・ラグの存在」があげられます。
バヨネット・ラグとは、バヨネットを小銃本体に取り付けるための小さな突起であり、
草創期のアサルトライフルであるM14やAK-47から、米軍の最新アサルトライフルのM16まで、
「アサルトライフル」と名の付く全ての自動小銃には、原則として必ずバヨネット・ラグが装備されています。

しかし、バヨネットで勝利を収められるような戦争は終わりを告げました。
最新のアサルトライフルが持つ能力は、バヨネットの実用的価値を補って余りあるからです。
では何故、バヨネットは未だに前線兵士のライフルにも必要とされているのでしょうか。


実は、その理由を皆さんにお伝えする最適な文章を、私は表現する事が出来ません。
あえて言うなら、「バヨネットが付いた自動小銃を持つと、何故か興奮するから」とでも言うほかありません。


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戦争は、意外にも最新の兵器や物量をもってしても征する事が出来ない側面を持っています。
これは戦争が、人と人との争いが、精神的活力に左右されやすいからです。
こればかりは実際に持ってみないとわからないのですが、
バヨネットが付いた自動小銃を持つと、大抵の人は奮起・興奮します。
これこそが、原始的な武器を手に精神的活力だけを頼りにして命がけで戦っていた先人達のDNAが、
現代を生きる我々にも脈々と受け継がれている証拠であり、
自動小銃にバヨネットが付いている最大の理由だと解釈すべきでしょう。


どんなに優れた性能を持つ最新のアサルトライフルでも、人の精神状態を左右する事は出来ません。
バヨネットは、無機質な工業製品である小銃に宿る唯一の気概なのです。

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by clan-aaa | 2009-04-28 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
値段の理由
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「けいおん!」というアニメが今大変な人気です。
私は観ていないので内容はよく知らないのですが、軽音楽部を舞台にした学園コメディーだそうです。
その人気ぶりは楽器店までにも波及し、登場人物が実際に使用するフェンダーの左利き用ベースが
今までにない勢いで売れているそうで。。。。7~8万円するのかな。


こういう時、彼らのような熱狂的なファンの行為を一過性の熱病だとあざ笑う事がよくあります。
というのも、こうしたきっかけで楽器演奏の楽しさに目覚めればいいのですが、ブームが過ぎ去ると
その熱も下がってしまう人が大半である、というのがその理由です。


わざわざこんな高い物を最初に買わず、入門機を買えばいいという意見も多く見受けられます。
さめてしまう事がわかっているのならば、最初から被害を抑えようという発想ですが、
安い楽器を買うような程度の熱ならば、そもそも買わない方がマシだと思います。


冒頭の絵にあるACOGという小さなスコープは、10万円以上する高級品です。
安いレプリカも多く存在しますが、本物の持つ性能には到底及びません。
そしてそれらレプリカでは、本物のACOGを取って代わる事は出来ません。


昔、私が小学生の頃、父親に頼んで郊外のガンショップへ連れて行ってもらった事があります。
わずかながらも貯めこんだ小遣いでエアガンを買うつもりで行ったのですが、
父は私が安いエアガンを買う事を引き止めました。


「そんな物買うくらいなら、こっちを買え。」と、父は私が買おうとしていた物の何倍もする値段のついた
エアガンを買ってくれました。こっちとしてはおいしい儲け話なのですが、別にエアガンに興味の無い
父が何故このような行動をとったのか、最近になってようやくわかったような気がします。


その一丁は、私自身が銃について知識造詣を深めていったきっかけの一つでした。
改めて思い起こすと、あの時もし自分が陳腐な安銃を買っていたら、今このようなブログを
書いている事はなかったかもしれません。
こうした価値観を教えてくれた父には、感謝しています。



楽器も、エアガンも、スコープも、物の値段にはかならず理由があります。
そしてその理由は、実感無くては理解できません。


高い物・良い物は、何も知らない最初だからこそ買うべきだと思います。
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by clan-aaa | 2009-04-26 21:54 | 「小銃少女」 | Comments(5)
アッドオン・グレネードランチャー
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前回はマスター・キーに見る自動小銃の外的付加価値についてお話しました。

今回は、もはや自動小銃のアクセサリーとして必要不可欠となったアッドオン・グレネードランチャーの存在意義、そして催涙ガスの被害から身を守る方法をご説明します。

■小銃と榴弾

小銃とグレネードの歴史は非常に古いのですが、現代のアッドオングレネードランチャーに通じるものは大戦期の塹壕戦で開発・改良された物がルーツとなっています。

そもそも「グレネード」とは、「榴弾」を指す言葉であり、広義では手榴弾もその仲間に入ります。
しかし手で投げる手榴弾にはどうしても飛距離に限界がありました。
そこで開発されたのが、上図のライフルグレネードです。

これは銃口に取り付けたグレネードを、銃弾のエネルギーや空砲のガス圧を利用して遠くへ飛ばす
最も原始的なグレネード・ランチャーです。

しかし、このライフルグレネードはお手軽ではあるものの、銃本体への負荷が大きかったり
狙いや飛距離に若干の難を抱えていた事が問題でした。

そこで、自動小銃にグレネード・ランチャーを別付けする「アッドオン・グレネードランチャー」
というコンセプトが誕生します。

■アッドオン・グレネードランチャー
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ライフルグレネードが抱えていた問題を承知していながらも、各国はライフルグレネード専用の小銃を作ったり、
もしくはグレネード・ランチャーを単体で運用するなどして試行錯誤していました。

しかしそうした中で、前回のマスターキー的発想が生まれます。
「2つじゃ荷物だから1つにまとめちゃおう!」というわけで、自動小銃にアッドオン(拡張付加)する
グレネードランチャーが誕生するのです。

インターネットブラウザで「アドオン」という機能がありますが、これと同一の単語です。
ブラウザを快適に使う為に機能を付加させるように、
自動小銃にグレネード・ランチャーという機能を付加させるのです。
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それまでのグレネード・ランチャーで使用される弾は、基本的にグレネード=榴弾(内部に爆薬を内包したもの)が
そのほとんどを占めていたのですが、現代では戦術や運用の変化、そして様々な局面に対処するべく、
多様性に富んだグレネード弾が開発されています。

その一つが、ノンリーサル(非致死性)弾薬の「催涙弾」です。
主に警察・公安関係の機関で使用されることの多いこの弾薬は、日本でも学生運動の盛んだった60年代に
大量に使用され、かの東大紛争では約7000発の催涙弾が使用されました。

最近では激化する市民紛争・市民暴動の際に必ずといっていいほど使用される催涙弾ですが、
もしそのような場面に巻き込まれてしまった場合、どのような対処をすればいいのか、
まず使い事のない無駄知識ですが、その方法をお教えします。

■催涙弾への対処法
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催涙弾に内包されているガスは、大別してCNガスとCSガスの2種類が存在します。
後者は前者より強力な「スーパー催涙ガス」と呼ばれるもので、主に欧米で使用されています。

次に催涙弾の種類ですが、これも大別してS型弾とP型弾の2種が存在します。
S型弾は拡散範囲が広いものの、噴霧に時間がかかるため投げ返される事があります。
そこで開発されたのがP型弾で、噴霧までの時間が短いのが特徴です。

近年ではCSガスを内包したP型弾が使用されている事が多く、撃ちこまれた場合
まず投げ返す事は不可能です。

発射された催涙弾から噴霧するガスを吸引すると、
強力なワサビを食らったような痛みと共に涙が噴出します。

催涙ガスを吸引してしまったら、まずはその場から一刻も早く離れるようにします。
多量に吸い込んでしまうと、血たんや呼吸不全が起き、最悪の場合意識障害を起こしてしまいます。

よく聞く対処の一つに、「レモン汁で洗い流すとよい」というのがありますが、これは間違いです。
催涙成分は角膜や粘膜部を傷つける危険があるので、絶対にこすったりさわったりせずに
涙の自浄作用で洗い流します。
非致死性ガスなので、催涙弾で死ぬという事はまずありません。落ち着いて対処しましょう。

しかし例外もあります。
「催涙ガス」ではなく、「催涙粉末」「催涙液」を浴びてしまった場合、
これは速やかに処置を行う必要があります。

まず、催涙成分を浴びてしまった衣服を脱ぎ、顔や手など露出した部位を石けん水、もしくは温水で
速やかに洗い流します。
催涙粉末や催涙液は、皮膚に付着すると炎症や水泡を起こし、ひどい場合はヤケドのような傷跡を残します。
またこの場合も、死ぬ事はまずないので落ち着いて対処しましょう。


こんな知識どこで使うんだよ、と思われるかもしれませんが、意外にも日本で市販されている防犯用の
催涙スプレーの成分は軍用・警察用のものとあまり変わらなかったりします。
そういったものを浴びせられる局面に陥った自分ってどうなのよ、って感じですが、
とにかく催涙ガスに対しては落ち着いて対処することが重要です。
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by clan-aaa | 2009-04-25 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
Master Key
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最近のケータイはワンセグやカメラといった付加価値の存在がもはや必須となっていますね。
そもそもは話すだけの道具だったはずなのですが、時代の進歩と共に総合的な道具へと進化しています。


自動小銃も例外ではありません。
弾さえ撃てればそれでいい、という時代は既に終わりを迎え、
今では様々な多機能性・発展性が求められる多目的ツールへと変貌しています。

今週は、小銃界一の多機能性を誇るM16を中心に、
「自動小銃の外的付加価値」についてお話したいと思います。

■万能・マスターキー
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(↑ Remington M31RS)
突然ですが、こんな形をしたショットガンを映画やゲームでご覧になった事があるでしょうか。
このように短く切り詰めたショットガンの事を、総じて「ソードオフ・モデル」と呼びます。

よくゲームや映画なんかでこのソードオフモデルを駆使し敵をばったばったとなぎ倒している
シーンを見かけますが、あれをリアルにやろうとするとちょっと無理があります。
何故ならショットガンのリコイルというものは自動小銃の比ではなく、すさまじく強力なものだからです。
ですので狙って人に当てる、という目的でショットガンを選ぶ場合、現実的には
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(↑ Ithaca M37)
このようなフルサイズモデルを選ぶことになります。

じゃあ上のソードオフモデルは何の目的で使うのかというと、「物」に向けて使用します。

かつて警察関係機関で発展・改良されていたショットガンのソードオフモデルは、
主にドアエントリーと呼ばれる緊急強行突入時に使用される限定的な道具の一つでした。
ドアの蝶番に向けて数発撃てば、大抵のドアは開ける事が出来た為「マスター・キー」と呼ばれ、
やがて市街地を主戦場とする現代の軍隊においても広く使用されるようになります。

しかし、警察と違い軍隊では他にも主力小銃やその他装備を担いで行かねばならない為、
便利ではあるもののお荷物な存在でありました。


そこで、一つの解決手段を見出します。


■コンビネーション・ウェポン
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「2つじゃ荷物だから一つにまとめちゃおう」という結構安易な発想の元、
自動小銃とショットガンを組み合わせる手段に行き着きます。


またそれまでのマスターキーは敵を狙って当てるような武器としての使用は難しかったのですが、
ストックの付いた自動小銃とセットになる事によってその用途を広げる事にも成功します。
現代戦では敵を殺傷するだけでなく、暴徒の鎮圧といった治安維持活動も包括的に行っていますが、
ショットガンだとそうした際にゴム弾や木弾といった「非致死性弾(NL弾)・低致死性弾(LL弾」
を使用することが出来ます。

自動小銃としても、ショットガンとしても、組み合わさる事でお互いの付加価値を高めているのです。


次回は、現代の自動小銃に必須の付加機能「アッドオン・グレネード・ランチャー」についてご紹介します。
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by clan-aaa | 2009-04-21 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
春ちゃん
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NHKの夜9時からの天気予報に登場するキャラクターなのですが、以前から話題になっていました。
難解な事象をよりわかりやすくするための擬人化、という趣旨は小銃少女と相似していますね。


擬人化というジャンルはかなり古くから存在すると思うのですが、最近ではもはや頭打ちな状況です。
初音ミクやヘタリアなんかはその最盛期にあたる存在じゃないでしょうか。


軍事関連の擬人化も出尽くした感があります。
ストライクウィッチーズが最たる成功例でしょう。
原作者である島田フミカネ氏の絵作りとキャラデザが時代に迎合したのだと思います。


時代に迎合される、というのはどんな分野でも大変重要なポイントです。
かく言う私も小銃少女をやろうとしたきっかけは、上に挙げた先駆者たちの存在あっての事です。
小銃の擬人化は私の知る限りあまり賑わっていないので、敵が少ないという点で俄然有利です。


可愛い少女の擬人化とはいえども、小銃は人殺しの道具です。
よく、「銃の善悪は使う人次第であって、スポーツにも活用できる健全な道具だ」と主張する人がいますが、
私個人の考えとして自動小銃は間違いなく人殺しの道具です。


特に小銃少女達、アサルトライフルはいかに効率よく人間を殺傷するかに特化させた殺人道具です。
重篤な戦病者を増やそうとか、一瞬で敵の動きを封殺するとか、物騒な研究の成果です。
そこには健全性や道徳性が介入できる余地は微塵もありません。


ですが、そういった冷酷な殺人道具でも、少女に見立てると
一瞬にして人の温もりが感じられる存在へと成り変わります。


擬人化は、そういう不思議な表現手段です。
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by clan-aaa | 2009-04-19 21:41 | 「小銃少女」 | Comments(0)
眼鏡小銃
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前回では、ようこ(L85A1)は数ある自動小銃の中でも特に重い部類に入ると説明しました。
これは自動小銃のリコイルを抑える為にわざと重くした、というのがその理由でした。

何故イギリスは、兵士の負担を増やしてまで銃のコントロール性を追い求めたのか。
今回はL85の特徴を中心にご説明します。


■西側ライフルの憂鬱
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L85は、1984年に英国が正式採用としたアサルトライフルです。
それまで英軍に採用されていたのは、L1A1(FAL)という第一世代のアサルトライフルでした(上図)。

このL1A1、アサルトライフルなのにフルオート機構がありません
本当はフルオート機構を搭載する予定でしたが、使用する弾薬があまりにも強力な為、
フルオート時のコントロール性が確保できないと判断され、その結果セミオート(単発)
のみとなってしまった経緯があります。

実はイギリスのみならず、西側諸国はアメリカ主導で採用されたこの強力な弾薬を使用するアサルトライフルの設計に大変苦心した歴史があります。

そんなわけで、イギリスは長い間セミオートしか出来ない旧世代的な自動小銃を使っていた
苦い過去
を持っています。
L1A1の後継機には、何としてでもフルオートを満足して撃てる自動小銃を採用したいという
強い気持ちを抱いていたはずです。

そこでイギリス軍部が目をつけたのが、「ブルパップ」のアサルトライフルでした。

■眼鏡がないと・・・
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マガジン(弾倉)がグリップの前に位置、すなわち機関部が銃本体中心~前部に位置しているスタイルの小銃を
「コンベンショナル・タイプ」と呼びます。(上図↑ AK-47)
一方、マガジンがグリップ後方に位置、すなわち機関部が銃本体後部に位置しているスタイルの小銃を
「ブルパップ・タイプ」と呼びます。(上図↓ L85A1)

どちらにも一長一短あるのですが、ブルパップタイプはコンベンショナルタイプに比べてリコイルのコントロールが容易であると言われています。

またブルパップタイプは、設計上バレル(銃身)長が有利に確保できるという利点もあります。
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日本の六四式小銃と比較してみると、バレル長(ピンク)は両者ともほぼ変わらないのに対して、銃の全長はL85に大きく分があります。


小さくてバレルも長くとれる、しかもリコイルのコントロールが容易。
いい事尽くしのようにも思えるブルパップですが、短所もあります。
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銃の照準はアイアンサイト(フロントサイト+リアサイト)で行いますが、この距離を照準長と呼びます。(上図赤線)
この距離が長ければ長いほど、銃の命中精度は理論上高くなります。
ブルパップは、その特性上照準長を長くとる事が出来ません
ですのでブルパップタイプのアサルトライフルには、
スコープやドットサイトといった光学照準器の搭載が必須となります。
L85には、SUSAT(スーサット)スコープと呼ばれる低倍率の光学照準器が標準装備されています。



ちなみに私は眼鏡をかけているのですが、かなりの近眼なので眼鏡がないと何も出来なくなります。
同様にL85もスーサット・スコープが壊れると急場しのぎのバックアップサイトを使うしかなく、
何も出来なくなる事はありませんが、大変困ります。


人としても、銃としても、道具に頼っていると何かと困るものですね。
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追記:L85のアイアンサイトについて少し補足説明します。
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スーサットスコープを外した際にはこのようなアイアンサイトを取り付けます。
有名どころだとM16やFA-MASのような、キャリングハンドル(取っ手)を兼ねたリアサイトです。
基本的にはこのような状態になることは無く、SUSATスコープの搭載が標準となります。
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by clan-aaa | 2009-04-18 08:00 | 「小銃少女」 | Comments(4)
メタボ小銃
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人の体重に差があるように、小銃にも重量に差があります。
特にアサルトライフルの重量は、前線兵士にとって大変重要な数字となります。

主要な小銃の平均重量は以下の通りです。

サブマシンガン・・・・・約2~3㎏
アサルトライフル・・・・・約3~4kg
スナイパーライフル・・・・・約4~6㎏
マシンガン・・・・・約5~10㎏


一般の兵士ですと、これにプラス弾薬・手榴弾等の装具、野営キット、
食料、通信機、ヘルメット・防弾ベスト等の防具など、その他もろもろ合わせて
十数kgの装備を担いで従軍する事になります。
一日中手に持っているアサルトライフルが少しでも軽くなれば、兵士の負担は段違いに軽くなります。


■メタボなアサルトライフル
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ちなみに、小銃少女達それぞれの重量は、

<重量比較表>
ひとむ
(M16A2)・・・・・3.5kg

しーな
(AK-47)・・・・・3.8㎏

ファル姉
(FAL)・・・・・4.3kg

みさき
(G3)・・・・・4.4kg

ようこ
(L85A1)・・・・・4.7kg


いよ
(M14)・・・・・4.4kg

りよ
(六四式小銃)・・・・・4.4kg

むつみ
(StonerM63A)・・・・・4.5kg



となっています。
ここで注目すべきは、ようこ(L85A1)が特に目立って重い点です。
他の子と大して変わらないようにも見えますが、全長比で比較してみるとその重さがわかります。

<全長比較表>
ひとむ
(M16A2)・・・・・99cm

しーな
(AK-47)・・・・・87cm

ファル姉
(FAL)・・・・・110cm

みさき
(G3)・・・・・100cm

ようこ
(L85A1)・・・・・78cm


いよ
(M14)・・・・・112cm

りよ
(六四式小銃)・・・・・99cm

むつみ
(StonerM63A)・・・・・98cm



身長(全長)が低いにもかかわらず、体重(重量)が重い、いわゆるメタボな小銃といわざるを得ません。

実は、ようこ(L85A1)は設計者がわざと重くしたのです。


■重い銃・軽い銃
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「自動小銃のコントロール性」という概念があります。

小銃は、発砲の際に「リコイル」(反動)というエネルギーが生じます。
弾丸が発射される方向と、その反対の方向に力が伝わる作用反作用の法則により、
発砲直後の小銃は銃口が大きく上を向き、あばれます。

フルオート(連射)が使用前提となるアサルトライフルでは、特に重大な問題です。
これは、銃の命中精度にとって一番の厄介事となる事象だからです。


世界中の銃器設計者たちは、このリコイルをいかに上手く相殺するか、
いかに銃を上手くコントロールするのかに注力してきました。


その解決手段の一つとして、「銃本体を重くする」という方法があります。
銃そのものが重くなれば、リコイルの衝撃を上手く安定させる事が出来ます。
逆にむやみに軽い銃は、コントロール性を大きく失することになります。


しかし、ようこ(L85A1)の生まれ故郷であるイギリスは、何故ここまでして銃のコントロール性を
追い求めたのでしょうか。

それは、彼女の生い立ちに隠されていました。

次回に続きます。
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by clan-aaa | 2009-04-14 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
Stoner M63A ②
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前回では、ストーナーM63Aが

・アサルトライフルとマシンガンの総合的な画一化

を目指し設計された「ウェポン・システム」であるという内容に触れました。

主要な自動小銃をカバーできる万能的能力を持ち、一見すると夢のようなコンセプトの元開発された
ライフルでしたが、最終的にはそのコンセプトそのものが仇となり、成功を収める事が出来ませんでした。

今回は、ストーナーM63Aの驚くべき構造と、
「ウェポンシステム」が失敗に終わった理由について触れたいと思います。

■ストーナー・M63Aの構造

「アサルトライフルとマシンガンの画一化」と聞いても、なかなかピンとこないと思います。
M63Aは、逆転の発想とも言うべき方法によってそれを成し遂げています。

マシンガンとは、一般的なイメージの通り弾をばら撒く事で部隊の進行を援護する兵器です。
ですので、持続的に弾を発射し続ける必要があります。

が、弾を連続発射し続けると、「バレル」(銃身)と呼ばれる弾の通る筒が非常に熱くなります。
マシンガンの射手は、通常スペアのバレルを何本も持ち歩き、熱くなったバレルを交換する事で
持続的に弾を発射し続けます。
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(↑ 濃い部分が「バレル(銃身)」)

この「バレル交換」という作業に、マシンガンの射手は戦闘中頻繁に追われる事になります。
ですが、迅速なバレルの交換作業には、↑図のようなアサルトライフルのスタイルは不向きです。
何故なら、バレルが銃の中部に位置している為、分解に手間がかかるからです。


さて、ストーナーM63Aはこの問題に対してどのように対処したのかというと、
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なんと驚く事に、「レシーバー」と呼ばれる銃のフレームそのものを上下逆さまにすることで、
バレルを銃上部に位置
させているのです。
まさに逆転の発想です。私の知る限りではこのような特徴を持つライフルはM63A以外存在しません。

厳密にはその他の部品もいくつか変更しなければならないのですが、基本原理はこの通りです。
主要部品を上下逆さまにするだけで、

・カービン(アサルトライフルの短縮版)
・アサルトライフル
・マシンガン


に変身する事が出来る、正に夢のようなライフルでした。

しかし、非常に優れた性能を持つストーナーM63Aでしたが、そのコンセプトそのものが仇となり
市場的には失敗に終わります。


■「ウェポン・システム」の泣き所
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(↑ みさき(G3)のウェポンシステムに例えられる「メニューの多い大衆食堂」)

世界的に成功を収めた初期のアサルトライフル「G3」を開発したドイツのHK社にも、
M63Aと同じ名を冠した「ウェポンシステム」と呼ばれる銃器体系が存在します。

しかし、HK社のウェポンシステムのコンセプトは、無理なく共用できる
一部のパーツ群(グリップ・基幹部品の一部等)に限定されたものでした。
ですので、HK社のウェポンシステムは非常に多岐に渡り、サブマシンガン・カービン・アサルトライフル・マシンガン・スナイパーライフルまでをもカバーしています。
その種類は半端ではなく、全てあわせると数百種類に及ぶ「大衆食堂的メニュー」を揃えています。


効率面ではM63Aに分があるのですが、HK社はM63Aのような方法を用いませんでした。
その最たる理由は、

「ストーナーM63Aのようなウェポンシステムは、器用貧乏である」

からに他なりません。

ストーナーM63Aは、カービンからマシンガンにまで変身出来るように、普遍的なサイズに設計されています。
裏を返せば、

「アサルトライフルとしては大きすぎ、マシンガンとしては小さすぎるサイズ」

に設計されているという事になります。
その中途半端な器用さが、逆に弱点となってしまったのです。
大きすぎるアサルトライフルとしてのM63Aは兵士の負担を増大させますし、
小さすぎるマシンガンとしてのM63Aは部品強度に問題が生じる事になります。



残念ながら失敗に潰えたストーナーM63Aでしたが、
そのコンセプトそのものが否定されたわけではありません。
現在では、米軍とドイツ軍がかなり熱心に同様のコンセプトを持つウェポン・システムの研究を継続しています。

ユージン・ストーナーが目指した夢の自動小銃の息吹は、現在でも脈々と受け継がれています。

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by clan-aaa | 2009-04-11 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(2)
Stoner M63A ①
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数多くあるアサルトライフルの中でも、米軍が採用しているM16は特に有名な存在です。
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東の代表格をAK-47とするならば、西の代表格に相当するといえるほど有名であり、
そのシルエットだけなら知っているという方もいらっしゃるかと思います。


しかし銃そのものは有名であっても、設計者である
ユージン・ストーナーの存在は意外にも知られていません。

ユージン・ストーナーは、アサルトライフルの可能性を大きく広げた銃器設計者です。
彼は、マシンガンとアサルトライフルを可能な限り統一しようとしました。

戦後の各国軍隊では、基本的にアサルトライフルとマシンガンの2種類を基本装備に部隊を編成しています。
新入社員が研修を受けるように、軍隊では新兵に銃火器の扱いを教育する事になるわけですが、
その際新兵には一通り全ての銃火器が扱えるように教育を施します

ここで一考ですが、自分が銃のことを何も知らない新兵になったと仮定して考えると、
銃火器の基本構造が全て同じである方が、非常にわかりやすいと思いませんか?

「アサルトライフルはガスオペレーションを利用したティルトボルトロッキング方式であるが、マシンガンは反動利用のローラーロッキング方式を使用する」

という銃器を扱うA軍隊と、

「アサルトライフルもマシンガンも、作動方式は基本的に同じである」

というB軍隊、どちらが教育の手間が省けるのかは一目瞭然だと思います。

他にも、アサルトライフルとマシンガンが可能な限り統一されていれば、

・主要部品の共用
・コスト削減
・誤操作の低減


などが期待できます。


そのようなねらいの元にユージン・ストーナーが開発したのが、「ストーナー・M63A ウェポンシステム」です。
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ユージン・ストーナーは、このM63Aを新兵教育の簡略化と武器調達コストの大幅な削減が期待できる
総合的な銃火器として設計しています。
このコンセプトは、近代における銃器設計者達全ての夢でもありました。


しかし、このM63Aはそのコンセプトそのものが仇となり、市場的には失敗に終わります。


次回に続きます。
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by clan-aaa | 2009-04-06 22:33 | 「小銃少女」 | Comments(0)
ストックにみるアサルトライフル
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前回では、「小銃」「自動小銃」「突撃銃」に関する説明をおこないました。
今回はその続きとして、「突撃銃」=「アサルトライフル」に関するいくつかのお話をしたいと思います。


突撃銃は銃器史の中でも特に歴史の浅いカテゴリーであり、意外にもまだ成熟しきっていない部分が
多く存在する兵器だといえます。

兵器という物は、長い時間と歴史によって改良・発展され、完成度を増していきます。
現在では常識となっているアサルトライフルのいくつかの特徴も、以前はそうでなかったりします。


■曲銃床?直銃床?

まず手始めに、アサルトライフルの「ストック」と呼ばれる部位を見てみましょう。
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「小銃少女」では、キャラクターの「足」を、それぞれの「ストック」に相当する部分として描いています。
「ストック」とは、銃の反動を最も受ける部品であり、その形状によっておおよその設計時期や
設計思想を割り出す事が出来ます。
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(上)「U.S. Rifle Cal.30 M14」
(下)「FN SCAR-H」

ここに二丁のアサルトライフルがあります。
両者では、ストックにそれぞれ大きな違いがあるのがお分かり頂けるかと思います。

ここで最も注視して頂きたいのは、銃口→ストック末端にかけての形状です。
上は「曲線」ですが、下は「直線」を描いています。

この形状のストックは、それぞれ

「曲銃床」 (きょくじゅうしょう)

「直銃床」 (ちょくじゅうしょう)


と呼ばれています。

曲銃床は初期のアサルトライフルにしか採用されていないので、曲銃床のスタイルを持つ
アサルトライフルであれば、それは黎明期のものだと判断できます。

ちなみに何故曲銃床のストックが初期のアサルトライフルにしか採用されなかったのかというと、
曲銃床はフルオート(連射)の際に発生する銃のリコイル(反動)を逃がすには不適切な形状だからです。

曲銃床のストックを持つアサルトライフルをフルオートで射撃すると、反動が逃がしにくいため
銃口がどんどん上を向いてしまい、全くねらいをつけられない状態となってしまいます。

つまり、フルオートのコントロールには直銃床のストックが最適なのです。

■ストックの素材

他にもこの二丁のアサルトライフルのストックには大きな違いがあります。
それは素材の違いです。

上のものは木製ですが、下のものは樹脂(プラスチック/ポリマー)で出来ています。
木製は軽くて丈夫、加工がしやすいのですが、湿気を帯びると歪曲してしまうので、
初期~中期のアサルトライフルのストックにしか採用されていません。
そうして次第に樹脂製ストックに取って変わることになります。


それでは最後に、下の「小銃少女」はいつごろ設計されたアサルトライフルかあててみましょう。
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ストックの形状は直線を描いた「直銃床」ですが、ストックの素材は木製なので、およそ初期~中期の世代にあたるアサルトライフルですね。

正確には、我が日本国自衛隊が1964年に正式採用した「六四式小銃」です。
同世代のアサルトライフルと比べても、非常に水準の高い優れたアサルトライフルです。


ちょっと長くなりましたが、今回はこの辺で。
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by clan-aaa | 2009-04-04 09:53 | 「小銃少女」 | Comments(0)