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AR-15の真価
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「SIG516」 元祖AR-15レシーバーを採用したSIGの新製品です。
内部メカニズムなど詳細は不明ですが、ダイレクトインピンジメントではないだろうなと思います。

ついにSIGまでもが本格参戦といった様相です。
SIGはこれまでオリジナルアッセンブリーを多用したSIG556で市場の反応をうかがっていたようですが、
ここにきてついに本家本元仕様を選んだという事は、米国におけるAR-15の絶対的な市場優位性が
それだけ魅力的に映えたのあろうと思います。


AR-15は米国における最大のライフルマーケットです。
国内のみならず、これまでにも多くの有名銃器メーカーがその市場の覇権を争ってきました。
H&KがHK416(上)を出した時は驚きましたが、かつて最大のライバルメーカーであったS&Wまでもが
出した時も驚かされました。


ただ単に模倣しただけではなく、各社ともにオリジナリティを出した性格を全面的にアピールしており、
特に作動機構に関してはAR-15、もといダイレクトインピンジメントに対する
メーカーの見解が伺えるようで興味深いです。


いい物だから売れるのかというと、私は銃としての性能はあまり関係ないと思います。
端的に言えば、アメリカを象徴するライフルであるからに他なりません。
欧州市場じゃそれほど人気が無いのもその証左です。


話変わって、「AKとM16はどちらが優秀か」という、銃器界における有名な議論があります。
私はAKが優れていると思います。それも圧倒的にです。
両者の長所・短所を踏まえてきた上での持論として、AKが世界一優秀だと思っています。


銃は私のようなマニアや、専門家が評価を下すための工業製品ではありません。
権力も力も無く、どうしようも立ち行かなくなった人々が立ち上がるための
ウルティマ・ラティオ(武力による最終手段)です。


例えば、200m先に立っている人間に弾を当てると仮定して下さい。
当てる自信もなければ、当てられない方が大半だと思います。
ライフル射撃で国体に出場した私でも当てる自信は皆無です。


そして、銃はそうした人々が使う為に存在します。
ゴリラみたいな軍人だけが使うものではありません。
ですので、針穴を通すような命中精度が必要だとは思いません。


そうした判断基準で、どんな銃が優秀なのかを思案すれば、
答えは自ずと出てくると思います。
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by clan-aaa | 2009-09-22 17:22 | ミリタリー | Comments(3)
ネックダウンの話
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先日、とある読者の方からの投書により、重大な誤解が判明いたしましたので、
この場を借りて改めて訂正させて頂きます。

短期集中連載 ”―14番目の少女” 第2回 「 TRIAL 」

以前掲載した「―14番目の少女」第2話の中で、.308win弾を説明するシーンがありました。
このシーンでは、.308win弾は「30-06のネックダウンケース」だとしていましたが、
これは間違いでした。

今の今までずっと勘違いしていたのですが、「ネックダウン」というのは
ケース(薬莢)の背を低くしたものではなく、口を絞って小口径化したものを
指す言葉にあたります。
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最近だと.357SIGが有名なネックダウンケースではないでしょうか。
.357SIGは40S&Wのケースをネックダウンし、9mmパラベラムのブレットを挿入させたものです。
元より口径が小さくなっているので、ネックダウンというわけです。


では.308winは30-06の何ケースだと言えるのかというと、
サイズダウンケースあたりが妥当な表現かと思います。

そもそも、.308win弾と30-06弾の銃口初速はほとんど変わりません。

<銃口初速 (弾頭重量150グレインの場合)>

.308win 2820fps
30-06 2920fps



両者は、弾頭との組み合わせや距離によっては数値優劣が逆転する場合もあります。
カタログ上ではほぼ互角のパワーを持っていると考えていいと思います。

それでも未だに30-06がアメリカで人気なのは、マグナム装薬時の利便性と、
使用銃器の関係だと思います。


そういう事ですので、改めてご理解下さいませ。
お騒がせしました。


ネットを介して情報発信すると、こうした自身の初歩的な間違いに気付きやすく、また勉強になります。
「銃器に関する正しい知識と理解を広める」なんて謳っていますが、こういう事は多々あります。

自分の身の回りにはあまりこの分野に深い人がいないので、ネットを始めるまでは
まさに井の中の蛙だったのですが、ネットを介して情報発信していると
私が当に及ばないような恐るべき方々が大勢いらっしゃる事に気付かされます。
それは大変な勉強になるとともに、良い刺激にもなります。


今後もこのような事態は起こりうると思いますので、
そんな時はどうか遠慮なく意見していただけると大変助かります。
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by clan-aaa | 2009-09-18 20:00 | ミリタリー | Comments(2)
「―14番目の少女」 第3話解説
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前回の第2話では、M14とFALの命運を分けた米軍新型自動小銃トライアルの
経緯を描いてきました。

このトライアルでは、結局T-44がM14として採用される事になったのですが
問題はこの結果がFALをはじめとした西側各国の次期自動小銃に与えた影響でした。

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一番の被害者は、いうまでもなく当時の自動小銃の中で群を抜く完成度を誇ったFALでした。
M14の採用後、英国をはじめとした諸外国の多くはFALを採用する事になるのですが、
西側(NATO)での弾薬共通性を維持する為、
米軍トライアルでのみ使用を想定していた.308win弾を採用する事になります。

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これによって、FALは開発当初一番の趣意であった実用的なフルオート射撃という能力を
ほぼ失ったも同然でした。
今となってはフルオートよりもバースト機能が重視されがちなアサルトライフルですが、
その当時、フルオートは次世代自動小銃である事を証明する重要な機能でした。

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しかしながら、実用的なフルオートが見込めなくなったFALは、
英国を始め多くの国々でセミオートのみに換装されることになります。
これは、実質的に以前までのオートライフルと何ら変わらない事を意味する、
耐え難い屈辱にほかなりませんでした。


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それでも、フルオート機能を残して採用した国々も存在したのですが、
現実的に見てとても実用出来るレベルの機能ではありませんでした。
これはM14も同様であり、まともに当たらないだけでなく、
そのリコイルは連続して撃てばアザができるほど強烈なものでした。


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その後、M14は10年待たずして退役するという米軍兵器史上最大の汚点を残し、
現在ではフルオートを省略しバースト機能のみを搭載したM16が
主力小銃となっているのは周知の通りです。
これが、米軍が30年かけて出したアサルトライフルの答えなのです。

こうしてフェデロフ1916にはじまり、Stg44でほぼ完成を見たと思われたアサルトライフルが
西側でその真価を発揮するまでには、半世紀以上の歳月を要する事となりました。

しかし、アサルトライフルにとって、本当にフルオート機能は不要なのでしょうか。
確かに昨今、バースト機能が持てはやされていますが、依然としてフルオート機能を搭載した
アサルトライフルが世界の軍隊の大半を占めています。

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フルオートの真価、もとよりアサルトライフルの意義とは。
次回はそうした内容を個人的見解に基づき描いた最終回となります。

掲載は、連休の頭頃を予定しています。
例の如くずれこんだ際は、温かい目で見守ってあげてください^^
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by clan-aaa | 2009-09-13 06:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)
短期集中連載 ”―14番目の少女” 第3回 「大国のはざまで」
(追記) 11日朝 第3話掲載しました

<<今までのあらすじ>>

アサルト科一寡黙な少女、いよが狙撃科に転向するとの噂が立った。
「出来損ない」「落ちこぼれ」と言われる彼女には、
あるトライアルでの複雑な過去があった。

少女の運命を大きく揺るがせた、そのトライアルの結果は、
彼女のみならず、もう一人の親友までをも巻き込む事となる。

大国のはざまで揺れ動く、二人の少女の運命は―

「―14番目の少女」
第1話 「少女の価値」
第2話 「 T R I A L 」

(お手数ですが各ページをクリックしてお読み下さい)
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掲載予定日より大幅にずれ込んでしまった事をお詫びします。
読者の皆様に甘やかされた結果がこれだよ!


というわけで第3話、いかがだったでしょうか。
例の如く解説は近日中におこないます。

量が多いのでじっくり読んで下さいね。
次回の掲載分が最終回です。


それと、もししばらく音沙汰が無かった時は
児ポ法で作者がしょっぴかれたんだと思って諦めてください。
「少女じゃない!小銃だ!」と抗弁するつもりではありますが。。。
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by clan-aaa | 2009-09-10 07:00 | 「小銃少女」 | Comments(6)
「―14番目の少女」 第2話解説
1日朝から昼にかけて大規模なサーバー障害が発生し、
ブログが閲覧できなくなっていたようです。
同時間帯にお越し頂いた方にはお詫び申し上げます。

第3話の制作も予想以上にずれこんでしまい、自分の管理能力の低さに驚くほどです。
夏休みの宿題もこんな感じだったような気がします。
ちなみに第3話の掲載は今週中に出来たらいいな♪
と玉虫色の期限を設けてさせて頂きます。もうしばらくお待ちを。。。


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さて、早速ですが第2話の解説に移りたいと思います。

戦後、各国はドイツの自動小銃「Stg44」に倣った新型小銃の開発と採用に追われる事となります。
これは、同銃が与えた影響による小銃設計の世界的な変革に起因します。

当時、西側最大の軍事国家であったアメリカは、新型自動小銃AK-47を既に採用していたソビエトに
遅れをとらぬよう、独自に新型自動小銃の開発を進めていました。
この開発過程で、大戦期の主力小銃であるM1ガーランドと呼ばれる大型の自動小銃を
フルオートに改造したT-20とよばれる試作ライフルが完成します。

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T-20は、米国の伝統的な兵器廠であるスプリングフィールドアーモリーで設計された
フルオートマチック・セレクティブファイアの大型ライフルで、
使用弾薬こそ30-06のネックダウンケースである.308winでしたが、その特徴は
アサルトライフルとは程遠いものでした。

先の大戦で連合国を勝利に導いたアメリカは、本質的にアサルトライフルの脅威を味わう事も
省みる事も無く、加えてM1ガーランドの余韻に浸っていた事が
後の過ちへとつながっていくことになります。

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そんな中、Stg44の先見性を認識し、来るアサルトライフルの時代を見越していた
欧州各国は、ベルギーでその開発が円熟していたアサルトライフル「FAL」を
西側の統合サービスライフルとする意向を固めます。

FALは、Stg44の長所を上手く取り入れ、280ブリティッシュとよばれる中口径弾薬を使用し、
実用的なフルオート射撃を念頭に入れた正統派アサルトライフルでした。


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しかし、これをよく思わなかったのが当時の西側最大の発言力を持つアメリカでした。
FALが中口径弾薬を使用する点にアメリカが難色を示した事で、
次期主力小銃の使用弾薬を巡って西側各国で激しい対立が起こります。

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その後、アメリカが「.308win弾を使用するFALを採用する」という譲歩案に合意した事で
事態は終息するかに見えました。
この合意は米英両国の首脳によって行われた正式なものであり、
当時のマスコミもこれを取り上げています。


が、アメリカは突如これを一方的に破棄します。
この裏で暗躍していた人物こそ、当時の米軍統合参謀本部長であった、リッジウェイ将軍です。
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リッジウェイ将軍は、第1次・第2次大戦に従軍してきた生粋のアメリカ軍人で、
NATO議長に選任された際には重要ポストにアメリカ人ばかりを据える等、
周辺諸国との協調性に欠けていた保守派の軍人でした。

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そんな彼が、FALなどという外国製の得体も知れぬライフルの採用を許すはずも無く、
その評価を貶める工作を部下の陸軍参謀カーテン少佐と共に共謀します。

具体的にはどのような工作がおこなわれていたのか。
これは実態が未だに不透明な為に明らかにはなっていませんが、
試験においてT-44が有利になるような贔屓を繰り返していた事は確かなようです。

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この、突如として行われた再度のトライアルでは、最終的にT-20改めT-44と、
FAL改めT-48が勝ち残るのですが、その内容は公平性に欠き、カーテン少佐の指示の下
T-44が優位に立つように仕組まれることになります。


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こうした出来レースの結果、不可解なT-44のトライアル勝利によってT-48の西側全面採用は白紙撤回、
一方のT-44はこの後M14として米軍制式主力小銃としてその座に就く事になります。


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理不尽なトライアルによって憂い目に遭ったFALですが、悲運はこれまでに留まりません。
FALの長く険しい運命は、これが始まりに過ぎなかったのです。


というわけで、第3話に続きます。
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by clan-aaa | 2009-09-01 18:00 | 「小銃少女」 | Comments(0)