五六式小銃 "不死身のドラゴン"
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第5話の作中でコロちゃんが「ベトナムで~」とか
「ハノイで米軍に~」などと話すシーンがありました。

M14と56式(もといAK)、両者はほぼ時期を同じくして誕生した
アサルトライフルであり、激しく銃口を向け合った関係でもあります。
特にM14にとって、56式をはじめとしたAKファミリーは
自身を断頭台へと追いやった深い因縁があります。

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その舞台となったのがベトナム戦争であり、
M14にとって、AKファミリーの存在というのは
それはそれは色々と思うところがあるわけです。
そして、ベトナム戦争において中共が支援した北ベトナム軍の
主力装備の中には、大量の56式が存在していました。


ことベトナムのジャングル戦においては、
重厚長大なM14でサーチアンドデストロイに苦労する米軍に対して、
軽快なAKでヒットアンドアウェイを繰り返すベトコンがいかに有利な状況であったのかは
言うまでもありません。

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ところでこの56式、バヨネットが付いている不利は承知の上でも、
数あるAKファミリーの中で「一番重たいモデル」だと私は認識しています。


56式(中国) 4,150g
タブク(イラク) 3,995g
MPi-K(旧東独) 3,900g
RKm62(フィンランド) 3,900g
AK-47(旧ソ連) 3,840g
M70(旧ユーゴ) 3,700g
AIM(ルーマニア) 3,700g
AMD-63(ハンガリー) 3,125g


(ライフルグレネードランチャー付きの旧ユーゴ製M70B1が4.2kgぐらいあるんですが無視してあげて下さい)


銃というのは重くするのはカンタンですが軽くするのはとーっても大変です。
例えばM16ライフルはその当時、樹脂やアルミ合金といった
材質面の恩恵を受けた「軽さ」の面で革新的だと持てはやされていました。
ベースモデルのM16は3,000g、確かにこれよりも軽量なフルサイズのアサルトライフルはちょっと思いつきません。


これには相当苦労したのでしょう、M16設計者のユージンスートナーが晩年
「M16A2はひどいよね、あんな重い銃つくった覚えは無いんですけど。
どんだけ苦労してM16を軽くしたと思ってんだよ。」
と米軍によるM16への”改悪”をボヤいていた記事を見たことがあります。

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話がだいぶ逸れましたが、イラスト説明中で触れている
シートメタルのコンマ5ミリの厚みというのはかなり大きな差です。
しかもこれが強度に直結するわけではありません。
材料費にも悪く反映されるでしょう。
こうした金属加工技術の諸条件も重量増加につながっているものと思われます。

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あ、あと最後にどーでもいい話ですが、
コロちゃんにはブルース・リー主演「燃えよドラゴン」の影響がちょっとあります。
義手っぽいとことか、ほっぺの切り傷とか。
さすがに「アタァ!!」とは叫ばないですけど。
「あ゛だぁ゛ぁぁぁ!!!」とは叫んでましたね。

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おまけ。初期の案。
最初はもっとギャルっぽい感じで考えていました。

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# by clan-aaa | 2014-06-11 17:00 | 「小銃少女」 | Comments(2)
"OPERATION GUN GIRL" 第5話 「不死身のドラゴン」

大変長らくお待たせしました。。。
本当に申し訳ございません。
「年度内には全部掲載できると思います、ハハ!」などと供述していたペテン野郎には
本気の肩パン一発お見舞いして下さい。


ちょっと間が開いたので、これまでのあらすじを。。


小銃少女の元に突然やってきたFBI捜査官。
彼らは殺人事件の容疑者として小銃少女を逮捕、取調べを行うが
その最中に何者かによって学園が襲撃され、りよ(六四式小銃)とミニー(MINIMI)が拉致される。
全ては何者かがこの機会を窺うために張り巡らせた、巧妙な罠だったのだ。


小銃少女を容疑者として貶め、襲撃を企てた黒幕として、
普段から学園に出入りしていたとある中華料理店の存在が浮上する。
その名は「北方飯店」―FBIの捜査情報とこれまでの一連の事件が
ようやく一本の線でつながったのだった。


りよとミニーを奪還すべく北方飯店へ乗り込む小銃少女達。
彼女達が目にしたのは、小銃少女の関与なしには製造不可能なほど精巧な
コピーライフルの数々だった。
次第に明らかとなる黒幕の目的と小銃少女の秘密。
そこには、「コアブレット」と呼ばれる謎の記録媒体が存在があった……

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五六式でコロちゃんて安直過ぎるやろ…
…あ!全員同じような感じやった!(笑
なんかこうギャップがすごいというか、ちょっとお気に入りなネーミングです。



今頃になって改めて気付いたんですが銃がいっぱい出る戦闘シーンって
描くのに尋常じゃないくらい時間掛かるんですよね。
やっぱもっとアホっぽくてサザヱさんみたいにほんわかした内容の方が
性に合ってる気がします。
あ!あとですね、「黒い服」ってどうやって描いたらいいの?(笑
みんなどうしてるんだろ。ベタ塗りで潰す?ぺた~んってなるしなー。
今回自分で描いておきながら何ですけど、試行錯誤感がハンパやないですね。
ちょー恥ずかしい!



さ、次回掲載に向けて予防線張りまくった所で今回はこの辺で。
ホント頑張って描き上げます!!!
お待たせしてごめんなさい!!!

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# by clan-aaa | 2014-06-10 12:00 | 「小銃少女」 | Comments(8)
FN FAL その光と影
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春のFAL祭り、最後は内部機構です。
つらい事があっても落ち込まない、ライフル界の女帝にせまります。



【西で一番タフなやつ】
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私は軍用小銃の評価基準における最優先項目「頑丈さ」において、
FALはAKに比肩する存在だと思っています。
しかしこのタフな構造には後述するデメリットも併在している点を認めねばなりません。


というわけで、FALの心臓部である「ティルティングブロック閉鎖機構」「落ち込み式閉鎖機構」を
図解してみますので、ロータリーボルト閉鎖機構 などと比較しながら
見て頂ければと思います。

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この図は完全に閉鎖している状態をあらわしたものです。
赤はティルティングブロック、オレンジはブロックキャリア、
緑はロッキングボルト(レシーバー)です。

えーごめんなさい、以下赤い部品に「ボルト」と書いておりますが
正確にはティルティング「ブロック」です。
回転しない鎖栓は「ブロック」、回転運動がかかる場合は「ボルト」ですね。
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①撃発後、ガスオペレーションによってピストンがブロックキャリアを後退させ、
ブロックキャリアはティルティングブロックとロッキングボルトの関係を断ちます。
ティルティングブロックの後端をキャリアがぐいっと持ち上げる感じです。

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②ティルティングブロックとブロックキャリアは抱き合ったまま後退します。

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③お次は閉鎖です。ティルティングブロックの傾斜した後端上面を
キャリアブロックが押さえ込みながら両者は前進します。
このときティルティングブロック後端には下方向へ強い力が掛かっています。

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④下方向へ押さえ込まれたティルティングブロックはレシーバーのへこんだ所へ
はめこまれます。ティルティングブロックの上にはブロックキャリアがいるので
ティルティングボルトは身動きが取れなくなります。完全閉鎖の状態です。

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一連の流れはこんな感じです。


で、一番の問題はレシーバーがロッキングボルトを兼ねている点です。


例えばAKやM16のようなロータリーボルト閉鎖機構の場合、
閉鎖はボルトとバレルの噛み合いによって完結します。
レシーバーは銃身とボルトグループのガイド役に過ぎません。


しかしFALのようなティルティングブロック閉鎖機構の場合、
レシーバーという銃の中で一番大きく重たい部品がロッキングブロックを兼ねているため、
レシーバーは大変頑強かつ精密に製造する必要があります。


そんなわけでFALはレシーバーをスチールブロックから削り出して製造しているのですが、
数多ある自動小銃の中でもトップクラスの耐久性が評価される反面、
その製造には大変な時間と手間が必要で、かつ部品単価が高価になってしまうデメリットが指摘されます。

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ただここで注意して頂きたいのは、
現在製造されている自動小銃の大半がロータリーボルト閉鎖機構を採用している理由が
前述の問題によるものだけではないという点です。


【ボルトをむやみに動かしたくない!】

ティルティングブロック閉鎖機構のもう一つのデメリットは、
ティルティングブロックの稼動領域にあります。


ティルティングブロックが閉鎖する過程をよく見ると、
ブロック後端が上下に動いているのがお分かり頂けるかと思います。
つまり稼動領域は「前後」「上下」です。


使い込むうちに銃は「ガタ」が出ます。
しかしガタが出ぬよう部品同士のクリアランスを上げると、今度は砂塵などの異物混入に弱くなってしまいます。
軍用銃の公差がルーズな理由の一つですね。


一方、ロータリーボルト閉鎖機構におけるボルトの稼動領域は「前後」のみです。
ティルティングブロック閉鎖機構のように「上下方向」へのクリアランスは深く考慮する必要がありません。
つまり精度面でティルティングブロック閉鎖機構はそもそも不利なのです。


現在、ティルティングブロック閉鎖機構が支持されなくなった背景には、
こうした複合的な要素が存在します。


特にドイツなんて銃身や閉鎖機構のティルトダウン・ティルトアップを本当に嫌がってきました。
もう執念というか、意地というか、、、、ピストルだとマウザーC96、ルガーP08、ワルサーP38が好例です。
G3はそうしたドイツ銃器美学の集大成とでもいえるんじゃないでしょうか。


余談ですがチェコのVz58なんて、どーしてもボルトはティルトモーメントさせたくないよぉぉぉぉ、
でもAKのレイアウトはやだよぉぉぉぉ、、、、で、分離独立させたポップアップブロックを
ショートストロークピストンでオペレート、しかもストレートハンマー採用で
銃身―ボルト―ハンマーのロイヤルストレートフラッシュじゃあ!!!!
うわぁこいつ必死やな、、、と思えてしまうくらい作動機構の稼動領域にシビアな例もあります。

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話がだいぶ逸れましたが、FALはそれでも命中精度を確保しようと部品同士のクリアランスを
上げた結果、「異物混入に弱い」という問題点が中東・アフリカ地域の戦闘で露呈してしまいました。
決して致命的な問題とはなりませんでしたが、FAL以降ティルティングブロック閉鎖機構を採用した
アサルトライフルはヒット作不在となり、現在に至ります。


20世紀の兵器史に名を残す歴史的傑作小銃、FN FALの眩い光と深い影、
しかしそれでも老兵は死なず、ただ消え去る事もなく、その存在感は今もなお際立っています。

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# by clan-aaa | 2014-04-11 08:30 | 「小銃少女」 | Comments(0)
FN FAL(2)
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「検定印:ニトロプルーフ」 あたりの記事を読むと
色々納得して頂ける面倒臭い回です。

ちょ、ちょ、ちょっと時間がつくれなくて
FAL内部機構の詳しい記事は次回更新とさせて頂きます。
ごめんなさーい。。。

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# by clan-aaa | 2014-04-03 08:44 | 「小銃少女」 | Comments(0)
FN FAL "西の怪銃"
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……えー、時間稼ぎ第二弾、、、ではなくて、
今回から「春のFAL祭り」開催したいと思います。


と申しますのも、当ブログの検索ワードで「FAL」がとっても多いんですね。
玄人向けなモデルながらも皆さん意外と関心があるのではないかと思いまして、
ちょっと集中的に取り上げてみようかなと決めた次第です。

尚、おおまかな歴史や概要については以下記事をご参照下さい。




【”怪銃”FALの誕生】

採用国数90ヶ国以上、製造は英国二大オーディナンス
(ロイヤルスモールアームズファクトリー、BSA)を含めた世界15拠点で
行われた歴史的傑作FALは、小銃というカテゴリに留まらず
近代兵器史から見ても稀に見る完成度を誇っているにも関わらず、
その知名度はM14やG3といった30口径クラスの同期たちと比べると極めて低い現状にあります。


この”西の怪銃”FALの設計を手掛けたのは、アメリカの天才銃器設計者ジョン・M・ブローニングの
遺作、ブローニングHPの最終設計調整に携わったとされるFN主任設計技師デゥードネ・ザイーブと、
そのサポート役、エルネスト・ヴェルヴィエ(同氏は後に汎用機関銃の名機「FN MAG」を生み出します)
の両名でした。


両者の手掛けた銃器に共通した特徴はただ一つ、「実用第一」である点です。
第二次大戦が終結し、欧州各国が次世代の軍用弾薬を模索する中で、
ザイーブは東部戦線でこれでもかと威力を見せ付け、
十分なバトルプルーフがなされたドイツ軍の7.92×33mmクルツに着目します。
かつて自国を苦しめた敵国の弾薬である事などはお構いなしに実用性を最重要視し、
同弾が次世代自動小銃に対してこの上なく適任であることを信じていたザイーブは、
FALのプロトタイプ、通称「Serial No.1」を同弾仕様にて完成させます。


【決まらぬ弾薬】

1948年にこのSerial No.1はイギリス軍とベルギー軍立会いの下でデモンストレーションが
行われたのですが、この後のFAL発展改良に際してイギリスの存在は欠かせないものとなります。
それを決定的なものとさせたのがModel No.1(Serial No.2)における
.280ブリティッシュ弾薬の採用でした。


.280ブリティッシュ弾はイギリス軍の兵器設計局次長リチャード・ビーチングが
設計したミドルクラスのライフル弾です。
同弾は想定レンジが600ヤードである点からもわかるように、
イギリス軍はその当時制式採用していたSMLEで使用する.303ブリティッシュが
オーバーキルであり、また射程距離を引き換えにしてでも「優先させるべき条件」を
次世代弾薬に求めていた事から誕生した中型弾薬です。


ちなみに、当時の同クラス弾薬のスペックを比較すると、


【英】.280ブリティッシュ (140gr;2,415fps)
【独】7.92クルツ (125gr;2,300fps)
【露】7.62×39mm:M43 (122gr;2,330fps)


弾薬は決してデータだけで語れない部分があるのですが、
.280ブリティッシュはアサルトライフル弾薬としての資質が
少なくともデータ上は十分である事がわかります。


.280ブリティッシュはこの後、米軍T65ライフルケースを参考にした改良が施されます。
この弾薬は英国で.280/30、FN社では7mmショートと呼ばれた幻のNATO弾でした。
そしてこの当時、ザイーブ、ヴェルヴィエをはじめとしたFN社の技術陣は、この7mmショート弾が
NATOで採用される事を信じていました。

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しかし、それでもFALは最終仕様の決定に踏み切れない状況におかれていました。
何故ならそれは銃や弾薬ではなく、もっと別次元の問題だったのです。


【銃の性能は問題ではない】

大戦後、生産設備とその工員が大量余剰となったスプリングフィールド造兵廠を
何としてでも再稼動させたいアメリカと、
面子を守るべく政治的譲歩を必死に避け続ける欧州諸国、
台頭するソ連を前にして一刻も早く結束すべき西側内部では、
西側次期制式統一弾薬の決定という議題をめぐって
この時期大きな不和が生じていました。


このあおりを受け、銃の能力や弾薬の仕様が問題ではなく、ナショナリズムの衝突によって
FALは仕様を次々と変更されてしまうのですが、
特に1952年のSerial No.28における米軍コードT-65規格、.308win弾薬仕様への変更は
その後の運命を左右する大きな転機となります。
米軍のトライアルに提出する為に仕様を変更したこのSerial No.28は
不本意にも今日まで製造されるFALのベースモデルとなりました。


1954年にNATOがオタワ合意で.308winを7.62mmNATO弾として採用する事を決定、
1957年にはFALがイギリス軍に、M14がアメリカ軍に採用されます。
ザイーブとヴェルヴィエが追い求めた理想に時代が追いつくには、
5.56mmNATO弾が採用される1976年まで待つ事となります。

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時代の不遇に翻弄され続けたFALですが、全世界で少なくとも
700万丁は製造されたといわれています。
私は勝手にAKを”赤き鋼帝”と呼ぶのに対し、FALを”西の怪銃”と呼んでいますが、
それほどまでFALは西側で成功した自動小銃の一つであると思っています。


次回は内部構造について触れようかなと思います。

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# by clan-aaa | 2014-03-26 18:00 | 「小銃少女」 | Comments(2)